親友の悲劇 ①
いつもの帰り道。天気は快晴で、生暖かい風が吹く。
ヒールを鳴らしながら歩く私に、携帯が鳴った。
「もしもし?」
その時までは普通だったんだ。あの電話が鳴るまでは。
学校を終わらせて家に帰る。いつも通りの匂いに、静かなこの空間。私にとっても、華にとっても、落ち着く。
『華?どうした?』
「いや、なんでもない…けど。」
『けど?』
「嫌な予感がするの。」
それは分かるから、深くは聞かない。華が窓を開けに向かうと、さっきまで暖かかった風も、いきなり冷たくなり、身体に深く刺さる。
『寒いし、閉めろ。華。』
「…うん。」
その想いを忘れさせるために、紅茶とお菓子を食べるように急かした。このまま何が起こるかわからない。
何が起こるのかなんて、私には……、分かっているのに。
しばらくして、電話が鳴る。
「もしもし。」
華の表情を見ていると、深刻な様子になってくる。何があったのか、知りたくなる。
そう思って入れば、華の耳元にあった受話器が、置かれた。
『華?何があった。』
「泉のところ、行ってくる。」
『おい!待て!』
そんなの無視して、家を出て行った。しかも、靴もいつものヒールじゃなくて、走りやすいスニーカーで。
私も急いで家を出て行く。早く、華の元へ追いつけるように。
力になれるように。
……役に立てるように____。