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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
175/180

罪 ④


気分も悪くなるほどの曇り空。雲が多く、太陽が隠れてしまっている。

私は窓際のソファーに腰かけて、外を見つめた。



「ひなた、レモネード入ったよ」


『ああ、ありがとう』



華が入れてくれたレモネードを受け取って、ただただ見つめていた。

きっとこれがボーっとしているということなんだろう。



「ひなた、お菓子は?」


『いらない』



全て一言で返すから、やっと理解したのか、それとも察したのか、何も言わなくなった。

静かに隣のソファーに座って、読書をし始める。

何処かでこの景色見たことあるなあ、なんて。ずっと静かなまま。ただただ雲が流れて、見えない風が吹いていく。

何時間くらいそのままでいたんだろう。呼吸する音と、本をめくる音だけがその場に響く。



『もう読み終わったのか』


「うん、次の本取ってくるところ」



そう言って華は立ち上がる。それと同時にふわっとめくれ上がるスカートと、香ってくる柑橘の匂い。思わず私は口元が緩んだ。



「どうしたの、ひなた」


『別に』



そろそろなのかな、なんて思いながら、また窓の外を見るんだ。

何があるとか、何かがいるとか、そういうのはないけど、興味が湧いた。ただそれだけ。

段々雲がよけて行って、太陽が見えてくる。眩しいほどの太陽の光が、家の中にも差し込んでくる。



「太陽出て来たね」


『そうだな』



2人して、お互いを見ずにそんな会話を交わす。どんどん明るくなる外を見ながら、人がたくさん歩いてくるのを感じた。少しずつ冷めていくレモネードを机に置いて、ゆっくりと華の方を見た。

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