罪 ③
それもどこか嫌な感じがして。
「離せ、柘榴」
「…嫌です」
必死の抵抗。僕の近くにいたいから、僕の側にいることが生きがいだから。確か、前にそんなことを言っていた気がする。
私は翡翠様の近くにいれたら、それで…。
私に生きる価値をくださって…。
静かに泣きそうな目で、僕の腕をつかむ。行かないでって、ここにいてって。
か弱い力で、棒のように細い、この腕で。
「私はどうしたらいいんですか…」
「あいつの…」
「私は、鳳ではなく、翡翠様の秘書です!」
僕を止めるためなら必死だ。どのような手を使っても残そうとしている。ポロポロと大粒の涙を流しながら、僕にしがみつくんだ。おかげさまで、僕の洋服は涙で濡れている。
「もう、僕の考えは覆せないよ」
目を見開いて、僕の腕から手が落ちていく。動揺しているんだ。
「それは…!」
「君はもう、翡翠の秘書じゃない」
きっぱり終わらせよう。全てを切り捨てよう。僕はそのまま一人になれるんだ。
翼でも生えて、飛べたらいいのに。大空へ。
そんなことを思いながら、彼女を置いてただただ歩いた。後ろから泣き叫んでいる声も聞いていないフリをして。
長さが異なるろうそくを見ながら、自分の命が短いことを実感させられる。
これが、本当の最後、ですね。