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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
173/180

罪 ②



『もうここには…』


「戻らない」



いや、本当は「戻れない」んだ。これから何しに行くのか、何をやるのか、こいつは分かっていて僕に聞いた。

何もお見通し、なんてさすがあいつの息子だ。



「そなたがこれからここを守るんだ」


『急にどうして…』


「急に、ではない。前から考えていたことだ」



前から考えていたこと。

この子は、ここに連れてこられた時から、そういう目をしていた。明らかに他の奴らとは違う。見てすぐにそう感じた。

だからこそ、僕はここから去らないといけない。どこか最後だと思うと、胸がザワザワして。

ああ楽しい。まるであの時みたいに。



『悲しい…ですね』


「何を言っている」



バカなことを言うものだ。

そう思うと自然と口元が緩んだ。僕は、鳳の肩をポン、と叩き、長い廊下をゆっくりと歩いて行った。

これで、本当に終わりなのか。そう考え始めると、どこか心にぽっかりと穴が開いたような、そんな気分が支配する。



「本当に行かれる気ですか」


「ああ」



まだ止める気か。もう決めたことは変えられない。僕に意志は固く、決して変えることはない、決定事項なのだ。



「私はもう少し…」


「何でそこまで僕にこだわる」



その言葉が出た瞬間、びくっと肩を震わせた。

ずっと僕にこだわって何がしたいのか。正直うんざりだった。この状況が、全てが。どれだけ歩いても歩いても続くこの廊下に、どこか苛立ちを覚えながらも、歩き続ける。それしか方法はないから。

逃げるように早歩きをしても、ついてくる。



「どうしてついてくるんだ」


「だって…!」



私はまだ納得がいってないんです。

そんなの僕の知ったことではない。必死で僕をここに引き留めようとしているその姿も、何もかもが僕の脳裏に焼き付く。

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