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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
172/180

罪 ①


シャンデリアの光がゆらゆら動くのを感じて、目を開いた。

いつも通りの黒いカーテンに光る炎と、明かり。昔のことを夢で見たようだ。寝た気が一切しない。

黒木ひなたが消える、あの場面が出て来た。今までこんなことなかったのに。

少し嫌な予感をしつつ、体を起こす。



「翡翠様?」


「…どうされた」



何をボーっとされているのですか。

そう言われるまで気がつかなかった。自分がボーっとしていたなんて。

きっと考えすぎなんだろう。と思いながら、静かに部屋を出た。

長さが全く違うろうそくが並ぶ中で、炎が色んな方向に向いている。ゆらゆらと揺れながら。



『翡翠様…?』


「そなたに話がある」



小さな体をこっちに向けて、僕の目を見て離さない。決して揺るがないその瞳は、僕の方が吸い込まれそうになるほどだ。



『何でしょうか』


「そなたに座を譲ろう」



廊下の真ん中で、自分たちしかいないこの空間で、そんな話をするのだ。

君なら、鳳なら、この世界をさらに新しいものにしてくれるだろう。そう信じたい。

もしかしたら、黒沢家、黒木家までもを滅ぼしてくれるかもしれない。そんな期待も込めて。



『譲るって…』


「僕のろうそくを見てごらん」



鳳に近かった、一番太く、大きいこのろうそくは僕の、翡翠の命だ。

段々短く、そろそろ燃え尽きそうだ。

それを見て、鳳は僕を二度見する。何を言いたいかは分かっている。だが何一つ言わせない。



『どうして…』



僕はそう言った鳳の口を閉ざした。これ以上は何も言わせないように。



「それ以上は何も喋るな」



それでも何かを話したいような鳳を見つつも、僕は何も触れない。ずっと唇を振るえさせて、納得がいかない顔をしているのだ。

その顔、どこか面白い。僕の興奮材料となりそうだ。



『あの!』


「まだ何かあるのか」



意を決したような表情でそう言ってくるから。あーあ、僕の好きな表情を見せてくれるのはあの一瞬だけか。

どこかがっかりしている自分がいて。

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