愛してるの意味 ⑦
「ん……」
楓が目を覚ました。私と華はテーブルで本を読んでいた。
「起きた?」
「はい…。あの…?」
『あのあと、そのまま倒れたんだ。犯人は無事捕まった。』
そう言うと、楓は嬉しそうに涙を流した。何粒も、何粒も。
そりゃあそうだ。実の妹がそいつの目の前で殺されているのだから。
『もう、自分を責めなくていい。』
「はい…」
そう言った瞬間、ピンポンとチャイムが鳴る。華は急いで、玄関へと向かった。
しばらくして中に入ってくる。後ろに二人連れて。
「お父さん…、お母さん…」
「無事でよかった…」
「楓さんを怒らないでください。彼女は依頼しに来ただけなので。」
「依頼、ね?」
「依頼…?」
?がいっぱいの楓の両親に、華が噛み砕いて説明をする。
すると、納得する父親と、怒りを露わにする母親。これだから人間は、家族は嫌いなんだ。
「ご心配をおかけしました。全て、私が楓さんを巻き込んでしまったんです。」
「ご迷惑をおかけしました。楓も謝りなさい。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
華は愛想笑いをふりまいて、楓たちを送り出す。
『嘘ついて。』
「嘘なんかじゃない。巻き込んだのは事実でしょ。」
正論ばかり言われると、こっちに勝ち目なんてない。だって相手は生きてる人間、現役の学生。まだまだ知識を入れてくる。
『確かに、そうだけど…』
「楓ちゃんたちなら、幸せになれるから。」
四年前、一つの家族を襲った悲劇。まだ幼かった妹を目の前で殺害され、写真さえ、妹の顔を見れなくなった一人の少女。
あの時、「私が囮になるから、お姉ちゃんだけでも逃げて」という言葉の意味を知りたくて、私たちの元を訪れた。
その言葉の意味、あなたは知れましたか?
ちゃんと妹さんの顔を見て、声を聞くことはできましたか?
もう二度と、あなたと再会しませんよう、心から望みます。