まぶしい光 ⑦
「…おかえり」
まだ痛い頭は、時間が経てば経つほどひどくなっていく。どれだけ強い力で私を叩いたのだろう。
私は密かに自分の頭を撫でた。
『からす』
『…はい』
お前は、私たちに何ができる。
あまりにも酷なことを聞くものだ。私だったら、正直言って何ができるとかわからないと思う。
彼は少し唇を甘噛みしている。
『何ができるんだ、からす』
『…守ります、翡翠から。情報も共有します』
覚悟を決めた表情だった。もう全てを失ってもいい。それぐらいの覚悟。
私からしたら、それでも十分なほど。
『からす、お前は当分、楓の近くにいてあげてくれないか』
「楓ちゃんのとこ?」
1人じゃ心配。ひなたの口から「心配」という言葉が出たことにびっくりした。
楓ちゃんと2人でいる間、何があったのか、何を実家です話していたのか。私にはわからないけどひなたをこうしたきっかけがどこかに必ずあったはず。
『…わかりました』
『何かあったら、すぐに私に連絡を』
ひなたはそう言って、楓ちゃんの家までの地図を渡した。何かを理解したのか、彼は蝶になって消えていった。
黒と紫が混ざっているような蝶。その姿がしっかりと焼き付いているくらい、綺麗だった。