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まぶしい光 ⑤
「ひなたさん…」
『お前は何も考えるな、楓』
高校生に何かさせるわけにはいかない。それに、万が一楓が「その」対象であったら。
まだ桜のもとに行かせるには早い。だから、守らないと。
私の中で、何かの使命感が現れた。
「ひなたさん?」
『守るから』
帰り道。楓を家に送る途中で出た言葉だった。話を聞いていたなら分かるであろう言葉。意図せずに出てきたこの「守るから」に一番びっくりしてるのは、楓ではなく、この私だ。
「ひなたさんがいたら安全ですね、私」
少し照れたように笑う。その言葉には、私も驚いた。何かを察して、全てを把握する。その理解力は私も羨ましいくらいだ。
お願いだから、この子だけは狙わないでくれ。
私は密かにそう願った。
「ありがとうございました」
『ああ、気をつけて』
家まで送り届けて、私は家に入ったのを確認すると、そこから姿を消した。