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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
156/180

まぶしい光 ②



「今回はどのような件で?」


「あの…、会いたい人がいて…」



会いたい人がいる。依頼。全て揃ってしまった。仕事だ。



「お名前、お聞きしてもよろしいですか」


「宮坂結です」



宮坂結、どこかで聞いたことのある名前だ。でも、どこかで。詳しくは知らない。どこにいて、誰に会いにきたのかはわからない。

彼女の話を聞いていくと、もうこの世にいない幼馴染に会いにきたらしい。生まれた時からずっと一緒だった幼馴染。その人の名は水城怜奈。ある交通事故に巻き込まれ、そのまま…。

大体はわかるけど、何を聞きにいくのか、何をしたいのか、その意図が読めない。



『何をしに行きたいんだ?』


「きっと、彼女に心残りがあるんですよ」



心残り、その一言で終わったら、どんなに楽なものか。

それだけで終わらないことを私は知っているから、ここでは終わらせられない。

どこか苦しみを感じるその表情の裏には何が隠れているのだろう。ずっと頭の中で、何かを探っている。



『何を探っている?』


『何で水城怜奈と会いたいのかが分からない』



どうやって、調べようか。どうやって、暴こうか。

何かできるわけではないけど、それがわからないと会わせたくても、会わせられない。

私とからすは頭をフル回転させる。

その策を考えていると、華がこっちにやってくる。



「ひなた」


『あれ…、宮坂結は…』


「もうお帰りになったわ」



とっくのとっくに帰ったそうだ。いつの間に。

フル回転していた頭も休止して、華と目を合わせる。



「恐らくあの子は本当に会いたいと思ってないわ」


『え…?』


「だから、今回はお断りしましょうか」



全てを受け入れるタイプの華が、こういう結論を出すのは珍しい。



『断る理由は』


「幼馴染だからって、会いたい理由がないの」



会いたい理由が見出せなければ、会わせられない。私たち含め、ゴーストを傷つけられたら困るから。

今回ぐらいはそういうことがあってもいいのかもしれない。



『わかった』


「だから、仕事はしなくていいよ」



仕事が減ったことに関しては、喜びに満ち溢れているが、どこか納得いかない心を押し殺して、無理矢理納得させる。

今回のことはもう忘れよう。そう思い込んだ。

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