まぶしい光 ②
「今回はどのような件で?」
「あの…、会いたい人がいて…」
会いたい人がいる。依頼。全て揃ってしまった。仕事だ。
「お名前、お聞きしてもよろしいですか」
「宮坂結です」
宮坂結、どこかで聞いたことのある名前だ。でも、どこかで。詳しくは知らない。どこにいて、誰に会いにきたのかはわからない。
彼女の話を聞いていくと、もうこの世にいない幼馴染に会いにきたらしい。生まれた時からずっと一緒だった幼馴染。その人の名は水城怜奈。ある交通事故に巻き込まれ、そのまま…。
大体はわかるけど、何を聞きにいくのか、何をしたいのか、その意図が読めない。
『何をしに行きたいんだ?』
「きっと、彼女に心残りがあるんですよ」
心残り、その一言で終わったら、どんなに楽なものか。
それだけで終わらないことを私は知っているから、ここでは終わらせられない。
どこか苦しみを感じるその表情の裏には何が隠れているのだろう。ずっと頭の中で、何かを探っている。
『何を探っている?』
『何で水城怜奈と会いたいのかが分からない』
どうやって、調べようか。どうやって、暴こうか。
何かできるわけではないけど、それがわからないと会わせたくても、会わせられない。
私とからすは頭をフル回転させる。
その策を考えていると、華がこっちにやってくる。
「ひなた」
『あれ…、宮坂結は…』
「もうお帰りになったわ」
とっくのとっくに帰ったそうだ。いつの間に。
フル回転していた頭も休止して、華と目を合わせる。
「恐らくあの子は本当に会いたいと思ってないわ」
『え…?』
「だから、今回はお断りしましょうか」
全てを受け入れるタイプの華が、こういう結論を出すのは珍しい。
『断る理由は』
「幼馴染だからって、会いたい理由がないの」
会いたい理由が見出せなければ、会わせられない。私たち含め、ゴーストを傷つけられたら困るから。
今回ぐらいはそういうことがあってもいいのかもしれない。
『わかった』
「だから、仕事はしなくていいよ」
仕事が減ったことに関しては、喜びに満ち溢れているが、どこか納得いかない心を押し殺して、無理矢理納得させる。
今回のことはもう忘れよう。そう思い込んだ。