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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
153/180

名前のない怪物 ⑦


やって来る。よくも引き抜いたな。

また恨み、憎しみが増してしまうじゃないか。

画面に映るからすの姿を見つめて、画面を割った。



「翡翠様?」


「どうされた?」


「それ…」



にこにこ笑った、さっきの顔が浮かんできて、苛立ちが募る。

画面の割れた破片を握りしめていたせいか、手のひらが、ガラスが、血で滲んでいる。



「からすだ」


「了解しました」



きっとそれと同時にあいつも、黒木ひなたも来るだろう。

どうやって言い訳をするのか、楽しみだな。

僕は、自分の席に座って来るのを待った。



「柘榴」


「はい」


「きっと、黒木ひなたもやって来る」



確証は得られない。でも、そんな気がした。そして、あの香りが近づいている。

お前が嫌いなこの柚子の香りに、耐えられるのだろうか。

そう思うと、自然と笑みが溢れた。

カッ、カッ、カッ。

もうそろそろで来る。そう思った瞬間、扉がノックされてこう言うんだ。



『からすです。失礼します』



真紅と冷炭の分もしっかりと。

そう意気込んで扉を開いた。みんなこんな感じだったのかと思うと、どこか息を飲んだ。



「どうされた、からす」



いざ目の前にすると言葉が出てこなくて。あんなに考えていたものも真っ白になって消えていく。



『あ…、の…』


「からす」



“黒木ひなたと、黒沢華と何を話していた?”


肩が震えた。それと同時に、冷たい空気が流れ込む。

どうして、それを知っているのか。全ての思考回路が止まった。

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