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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
152/180

名前のない怪物 ⑥



「お客さん、ですか?」


『え…』


「華さーん!」



ここが、黒沢華の家なのか。

理解力が少し落ちているようだ。肩についている黒い羽毛を一枚ちぎって落とした。



『お前…』


『…助けてください』



思わずそんな言葉が溢れていた。黒沢華ではなく、黒木ひなたを見て。

そんなこと思ってもいないのに。戻りたいわけでもないのに。



『真紅も…、冷炭も…、消えたんです…』


『だからと言って、私の元に来られても…』



困る。それは分かっていた。何を考えているのか、何を話そうとしているのか、もう分からなくなる。

ただ、このままあの地へと戻ってはいけない気がして。



『…天使に戻りたいなら、全てをトップに伝えろ』



そんなことをしたら、消される。

その恐怖が支配する中で、そんな簡単に口には出せない。俺は目を見開いた。



『お前はもうあの世界には戻れない。だが…』



“ここで私たちに愛と平和を配ることは出来る”


思わずまた涙が流れた。

また自分を必要としてくれる人がいる。それだけで肩の荷が降りた気がした。



『ここにいて…、いいのか…?』


『いたくないなら帰れ』



どこか心が満たされた。

そんなこと、今まで誰にも言われたことがない。だから、なおさらなんだろう。



「ひなた?どうやって消されないように…?」


『企業秘密だ。華にはまだ早い』



なんで、こんなに温かいところを壊そうとしてたんだろう。いや、どうして壊してしまったんだろう。

そう思うと、申し訳ない気持ちになる。



『お前は何も心配しなくていい。戻って話をしてこい』



それだけで何か変わる気がする。

全てを変えよう、俺は戻りたいんだ。

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