表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
150/180

名前のない怪物 ④


『リリス…』


『どうしたの?』


『翼、汚れたの…?』



色は一緒だと思っていたものの、根本の部分から徐々に黒に変化していた。

でも、嫌いになれないんだ。恋しいから、愛しいから。

彼女はポロッと涙を流していた。



『ハニエル、私を殺して…』


『え…』



その言葉は「私は悪魔だ」と認めているようだった。

手元に弓矢などはある。でも、殺せない。

自分の中でずっと葛藤している。焦りすぎて、冷や汗をかいていて。どうすればいいのか、もう分からない。

その時



『いたぞ!』



後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。

あ、見つかったんだ。一瞬でそう感じ取った。

それからというもの、時間はあっという間で。処刑の時間。

見たくもないこの地獄を、何で天使がやっているのか。謎でしかなかった。こんなものは平和じゃない。

愛ではなく、涙が溢れていく。それを笑って、終わらせるんだ。

もうそろそろでリリスがやってくる。手を縛られ、何も思わない無の表情で。

そう思うと、出会った時の記憶が浮かんでくる。


“あなた、はちみつの香りがする”


“あなたには私の愛をあげるわ”


“元気にしてた?ハニエル”


その言葉一つ一つが、涙として流れていった。

これが最後だなんて、思いたくない。まだ、一緒に。そんな気持ちは全て失われそうで。

消えたら、忘れてしまうのか、なんて思って。



『ハニエル』



その声の主は「抹殺」というワードを出した張本人。殺せなかった自分も殺されるのだろうか。

そんな不安を胸に、顔をあげる。



『あの子とは、どういう関係だったの』


『…愛しい人でした』



これから殺される、そう思うと涙が止まらない。



『あの子の最後を、目の前でご覧なさい』



心臓が止まったかと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ