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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
145/180

冷たい雨 ⑤


からすと何時間外にいたんだろう。もう何時間過ぎたのか、自分でもわからない。



『あ…、雨…』



ぽつりぽつりと自分達の上に落ちてくる水滴。

冷たく、何かを浄化させるように。

土砂降りになってきて、ようやく正気に戻る。



『…早く、戻ろう』



いつもと全てが違うのは、自分でも分かっていた。でも、すぐには直せない。もやもやしているから。

何もかも終わらせてからじゃないと、元に戻れない。雨に打たれながらそんなことを考えている。

自分がここに来た意味ってなんだったのか。それすらも思い出せなくなっていた。



『あいつと、話しに行くの?』


『どうして』


『それこそ冷炭まで消えちゃう…』



消えない、という保証はついていない。今話しに行って、消される確率はほぼ100%だと思う。

でも、他のやつが消されて、滅びるよりかは。

今自分ができることを優先したい。



『俺は、嫌だよ』



建物の中に入るまで、ずっと自分を止め続ける。

消されるから。嫌だ。やめてよ。まだいてよ。

まだ消されるかはわからない。それに関しては行ってみないと分からないんだ。

止められるのは…



『自分しかいないんだ、からす』


『…っ、なんで…』



全てを問い詰めないといけない。あいつに全て聞かないと。そうしないと、自分の気が済まないから。

からすが呼び止める声を無視して、自分は姿を消した。

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