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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
144/180

冷たい雨 ④


「今日、楓ちゃんは何してたの?」


「えーっと…、勉強してました。華さんは?」


「私はね…」



なんて端でやっている。まるで姉妹のようだ。

全く赤の他人だったのに。

こう言うところを見ると、人間の友情はとても単純だ、なんて思ってしまう。



「ひーなーたー?」



私が話を聞いていないとでも思ったのか、ずっと私の名を呼び続ける。



『あーもう!なんだよ!』


「そろそろおかわり?」



ニヤニヤしながら私のカップを覗いて来るから、黙ってそのカップを渡すしかない。



「おかわりって渡してくれればいいのに」


『私には私のタイミングってものがあるんだ』



そんなものはただの言い訳に過ぎないこと、華には見透かされているのだろう。

でも今はそんなもの、関係ないんだ。

華は笑いながら立ち上がって、部屋を出て行った。



「素直に言えばいいのに」


『素直に言えなくて悪かったな』



微笑む楓の表情は、どことなく誰かに似ていて。

また眠っている記憶を呼び覚ます。


“ひなた。起きなさい。時間よ”


“ひなた”


決して好きではない名前を連呼されるこの気分。

いまいち誰が呼んでいるかなんてわからない。

でとらどこか気持ちのいい声。心が安らかになっていく。



「お待たせ、ひなた」



氷のカランカランという音が響く。きっと冷たいレモネードを入れてきてくれたんだろう。

声の主なんて全くわからないまま、私は雨が降っているこの外を見つめた。

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