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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
143/180

冷たい雨 ③


冷たい雨が降っている。というか、雨というよりみぞれだ。何を感じ取っているのだろう。空は、天気は、心情を受けて影響されやすいのだから。



「ひなたー?」


『何だ』


「楓ちゃん、そろそろ来るって」



雨なのにも関わらず、華のことが大好きなことで。

そんなことを呑気に考えながら、華の姿を見つめる。



「え、何?」


『別に。最近本読んでるとこ、見ないなって』



今まで読んでいた本は綺麗に並べられているものの、新しく追加された本はここしばらく見ていない。



「読む時間、最近作れてないから。ただそれだけ」



そんな話をしていると、扉が開く音が聞こえてバタバタとやって来る。

大体誰が来るかは予想出来ているけど。



『もうちょっと静かに来い、楓』


「冷たいなー、ひなたさん」



現れた楓は、いつもと同じように私と接して、華の元へいく。

普段着で現れた楓の姿は、どこか違う。



『そんなおしゃれして、どこか行くのか?』


「え?全然」



楓曰く、これが普通、らしい。

私たちが思うことと、こいつが思うことはやっぱり違くて。どこか納得いかないな、と思うこともあるが、いつもより違和感は増している。

ことっ、と置かれた華のティーカップの中身は、ミルクティー。



『嗅いだことのない香りがする』


「え、わかるの!?」



そんなにびっくりするような内容だっただろうか。

華は私の目を見て、驚いた表情をしている。



「実はね、ディンブラっていう茶葉を使ってみたの。どう?」



ディンブラの茶葉は、バラのような香りがするのが特徴で、クセがない茶葉。紅茶が好きな人なら、みんなが好き、と言うであろう。みんなに愛される、と言った方がいいのだろうか。



『いいんじゃないか?』



冷たい雨音が響く室内に、スーッと入って来る冷たい風。

やっぱり雨の音って、雨の日って、嫌いだな。私には合わないみたいだ。

1人でそんなことを考えながらレモネードを口に含んだ。

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