表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
142/180

冷たい雨 ②



『なーに覗き見しちゃってんの?鳳くん』


『…いや、バカだなって思って』



鳳の下に仕える雪が消えた。次々と仲間が消えていく中で、やっぱりみんなして「次は自分が…」なんていう不安を抱えていた。

それは、自分も同じくで。



『ほら、早く戻りなよ』


『…はい』



これから何が起こるかわからないからね。きっとこうやって仲間が消えていくのは、あいつが1人で全てを終わらせようとしているから。

それは分かっているのに、どうしてだろうね。あいつの行動を止めることができない。



「…そこで何してるの、冷炭」


『お前こそ、また消したんだって?』



“それも、黒沢華の一番の身内を”

何を考えていて、これから何をしようとしているのか、自分には分かっている。その上で、こいつに質問を投げかけるんだ。



「…お前には関係ない」



そうか。

どこか納得してしまう自分がいた。廊下の端にある蝋燭を見て、あいつは一つの蝋燭を吹き消した。

数ある蝋燭の中で、どうしてあれだったのか。自分はその蝋燭を見て思わず血の気が引いてしまった。そして、逃げ出した。



「え…っ、冷炭!?」



その廊下を走り抜けている途中に、いろんな人に止まれ、と言われる。でも、あの場所で立ち止まりたくなかった。

今まで気にしてなかったけど、「そういう意味」だったなんて。

外に出てから気分が悪くなる。



『なんだ…っ、あれ…』



誰も拾わないこの声を、宙に投げた。

この広い広場で、自分は1人座って、息を整えていた。すると、そっと脳裏で浮かぶ景色。

すぐに分かった。自分の幼き記憶だと。でも今は、この記憶に飲み込まれてはいけない。



『冷炭?』


『うわっ…、びっくりした…』



冷たい汗をかいている自分にびっくりしながらも、一番は隣に急に現れたからすの存在。

真紅の相棒といっても過言ではないからすは、真紅がいなくなってから落ち込んだまま。



『真紅がいなくなって…、静か…』


『そうだな』



真紅がいなくなったこの世界で、やるべきことをやるだけなのに。いまいち前に進めない。

誰かがあいつを止めないと…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ