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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 4
133/180

英国の訪問者 ④


イギリスから来た彼は、いつもよりちょっと違うタイプのお客様だった。

状況としては、楓ちゃんとそっくりな部分も多々あって。幼い時からそういう体験をしてきたと思うと、どこか可哀想で。

きっとその一つの単語で括っていいものではないと思う。でも、すぐさま出てくるのはその言葉。



「華さん」


「あれ、ひなたは?」


「もう交渉に出かけました」



ボーッとしていると、いつの間にかいなくなっていたひなた。これに気づくのが、お客様が帰られた後でよかった。

そんなことを呑気に考えながら、私は冷め切った紅茶を口に含んだ。



「それにしても、ひなたさん遅いですね」


「そんな前に行ったの?」


「はい。ご両親に会いたい、という辺りからですかね」



結構序盤の序盤。そんな前から出て行って、まだ帰ってこない、って。あれからおよそ2時間は軽く経っている。私は少しずつ不安に支配され、胸が押し潰されそうになった。



「何か、手こずっているんですかね?」


「それだったらいいけど…」



その日はひなたが帰ってくることはなかった。

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