愛してるの意味 ③
全てを言い当てられて怖かった。このままだと私の本音までバレてしまいそうだ。そこにいるのもやっとだった。
早く話をして帰ろう、そう思ってると聞こえてきたあの声。
『相手は子供。優しくしてやれ。』
まわりから見たら、まだ子供かもしれない。でもあの時、どうして桜があんなことを言ったのか分からなかった。
『私が囮になるから、お姉ちゃんだけでも逃げて』
どうして、こんなことを言ったのか知りたい。あの時は私よりも冷静だった。まるで、こうなることがわかってたみたいに。
私はいつの間にか、あるビルの屋上にいた。
『華、山田楓ならあのビルの屋上だ。』
「なんで、」
『私の力をなめるな。場所特定なら簡単だ。』
楓がこのビルに入って行くところが見えた。もしかしたら、自殺を考えてる可能性がある。
そう華に伝えれば、急いでビルの屋上への階段を駆け上がった。
カタカタと音を立て、屋上の扉を開ける。今の時期、生ぬるい風が体にあたる。
楓はその中、フェンスに座って街並みを見つめていた。
『山田楓、気を早めるな。こんなこと、妹も両親も望んでないはずだ。』
「誰もがそういうけど、実際は分からないじゃん。」
『お姉ちゃん。』
私たちはあの後、急いで桜との連絡を取った。楓の望んでいること、理由、全てを伝えれば快く引き受けてくれた。
「なんで、桜が、」
「会いたかったんでしょ?私はあなたの全てを知ってる。」
「私の全てって…。」
「山田楓、15歳。2001年8月10日生まれ。四年前の事件で妹を亡くし、妹の最期の言葉を解明したい。」
華がそう言うと、楓の顔は青ざめていった。
私は、その姿を見るのが楽しい。まあ、そんなことを言えば、華に怒られるんだけど。
でも言ってるのは華自身であって、私自身ではない。だから、私が何を思おうと、私の勝手。
「楓ちゃん、聞くことは聞くんだよ。あなたの一生で使える二回のうちの、貴重な一回を使ったんだから。」
「私たちは室内にいる。」
そう言って、その場から去る。
二人にしてあげた方が話したいことが話せるから。
これが私たち流の “ ゴーストアビリティー ”。