紅の真実 ②
私がここでやるべきことは一つ。黒沢華の仕事をたくさん増やすことだった。そうすれば、黒沢華の力がどんなものなのか、お手並み拝見できるでしょ?
『望月紅葉。いや、真紅。』
バレた?と思いながら後ろを振り向くといたのは、黒のワンピースを着た一人の少女。
この子が誰だかもわかってない私は、頭の上に?が浮かび出す。
「あなたは?」
『華に、黒沢華に手出ししようものなら許さない。』
その言葉でわかる。彼女は、黒木ひなただ。私は思わず笑みが溢れた。
だって、こんなに可愛らしい子があの黒木ひなただったんだもの。笑っちゃう。
『なにを…』
「本当、可愛らしい女の子ね。」
『なっ…』
「そんなあなたに、なにが救えるのかしらね。」
我ながら、ものすごく意地が悪いと思う。でも、こうでもしてなきゃやってられないのよ。
歩いて歩いてたどり着いた先は、とある高校。
校舎も、制服も全て新品キラキラ。
「ここにきーめた。」
セキュリティーは万全に見えてゆるっゆる。こんなんじゃ、操り放題じゃない。
最終的には全員私のお人形にしても。
『随分楽しそうじゃないか。』
「ええ、楽しいわよ、からす。」
ほんのりとはちみつの香りを漂わせて、私の隣へと着地する。
からすは前からそう。何かある度に、私についてくる。私が大好きだから。
『次のターゲットはここ?』
「美味しい蜜がたくさん取れるわよ。」
『美味しい蜜、ねえ?』
他人の不幸は蜜の味、って言うじゃない。
こんな期待に溢れた瞳を、黒で塗りつぶせたら、さぞかし美しくなるでしょう。
私にしたら、絶対に美しくなるわ。
ふと視線を外すと、目の当たりにした面白い光景。
「ほら、からす。面白い光景よ。」
『またか。そんなことして、なにが楽しいのかね。』
私たちは見えないことをいいことに、その現場に近づく。壁に押し付けられ、足だの手だの、血だらけあざだらけ。きっと毎日毎日耐えてきたんでしょう、この子は。
「ねえ、あんたさ。栞があんたの親友とかまじで言ってんの?」
「栞は…っ、私の親友だもん…っ、」
痛々しい友情。まずは、この子たちかしら。
『名前は、岡本リサと本田藍、と。』
「さっきの栞って子は?」
『佐々木栞?』
いかにも面白そうね。全ての人間関係を潰して、壊した時。新たなものが見るんですもの。
達成した時の快感は忘れられないわ。