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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 4
120/180

碧い風 ⑤



ふと頭によぎる、一つの風景。森のようなところを抜けた先の一本の樹木に登る、私と男の子。

彼は、私をこう呼ぶんだ。“ ひーちゃん " と。


顔が見えない、匂いもわからない。

ただ、この景色はものすごく懐かしいんだ。私は、この景色を、この場所を知っている。



『こかげ…?』



私の口から見知らぬ名前が飛び出した。

その名前が、これから問題を起こすとも知らずに______。




それから数日。もう既に月影はるひにも成田俊介にも連絡は入っている。今日が、二人の再会する日。

誰よりもこの私がドキドキしている。

なにも起きませんように、そんな願いを込めて。



「お待たせしました。」


「いえ、大丈夫です。それでは、」



" 覚悟はよろしいですか。 "


華のその言葉を合図に私は、その現場というものを作り上げる。

いつもみたいに透明なドームを出現させ、まわりにはなにも見えないように魔法を。



「それでは楽しいひと時を。」



本当に楽しいひと時になることを、ただただ願う。

何も起きない、笑顔でお互い帰れるように。

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