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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
12/180

愛してるの意味 ②


服を着替え、読書をしていた華。何かを感じ取ったのか、いきなり立ち上がる。





『華、どうした?』


「誰か来る。」





そう言った数分後、可愛らしい制服に身を包んだ少女がやってきた。

と言っても、今は午後の二時。学校は?と言いたくなる。






「ゴーストアビリティーの方ですか?」


「はい。とりあえず、中へどうぞ。」






華は優しくその子に言った。


この子は初だな。私が会ったことないから。






「はい、どうぞ。」






子供だから、華が出したのはオレンジジュース。そこはちゃんと配慮したらしい。






「で、学校は?」


「今日はテストで3時間です。」






ばっさり切られた華。ちょっとイライラしてるっぽい。

でもさすが、態度には出さずしっかり笑ってる。







「名前と年齢は?」


「山田楓、15歳です。」







山田楓…、どこかで聞いたことがあるな。どこだっけ…。


考えていると、華が笑いながらこっちを見ている。





「楓ちゃんは、桜ちゃんに会いに行きたいのね?」


「なんでそれ、」


「四年前、ある一家を襲った恐怖。当時9歳だった桜ちゃんを、あなたの目の前で殺された。」







黙り込む楓。その顔は、今すぐにでも泣きそう。







「会いにいきたい理由は…?」


「…謝りたいんです。あの日は桜の誕生日だったのに。」


『あら、それはお気の毒に。』


「……謝りたいだけ?」






そう言われて、目を見開いて黙り込む楓。

あまり追い込むな、そう言いそうになってしまう。






『華、相手は子供だぞ。優しくしてやれ。』






そう言えば、徐々に曇っていく楓の顔。何かあったのか、と不安になっていく。

今まで、こんなことなかったのに。







「……やっぱり、私は子供ですよね。」







それだけ言って、出て行ってしまった。


今の発言、何が何だか全然分からない。

ぼーっとその後ろ姿を見つめていると、頭を叩かれる。







「ひなたのせいよ。」


『は、なんで私なの。』


「さっきの発言、あの子私たちの声が聞こえるのよ。」


『そんなの感じなかった!』


「とうとう鈍くなったのね。」







そう華は言って、春用のコートを着る。








『どこ行く気?』


「楓ちゃんのとこ。」


『お前、今日自主休講してるだろ。』


「でも、心配。」







相変わらずお人好しだな。これで何回目のつもりだ。もう勝手にしろ。


そう言いたくても、言葉にできない。正確には言えない、が正しいだろうか。

そんなことしてる間に、華はパンプスに足を通していた。







『待て。私も行く。』


「どうせ、お人好しだとか思ったんでしょ? 来なくていい。」


『言っとくが、これは私の意思じゃない。パートナーだからだ。』








上手く、言葉にできない。素直に言っておけばよかった。


そんなことを考えていると、華が笑っている。ここで言い返せば、何を言われるか分からない。

だから、黙って目線を外した____。

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