愛してるの意味 ②
服を着替え、読書をしていた華。何かを感じ取ったのか、いきなり立ち上がる。
『華、どうした?』
「誰か来る。」
そう言った数分後、可愛らしい制服に身を包んだ少女がやってきた。
と言っても、今は午後の二時。学校は?と言いたくなる。
「ゴーストアビリティーの方ですか?」
「はい。とりあえず、中へどうぞ。」
華は優しくその子に言った。
この子は初だな。私が会ったことないから。
「はい、どうぞ。」
子供だから、華が出したのはオレンジジュース。そこはちゃんと配慮したらしい。
「で、学校は?」
「今日はテストで3時間です。」
ばっさり切られた華。ちょっとイライラしてるっぽい。
でもさすが、態度には出さずしっかり笑ってる。
「名前と年齢は?」
「山田楓、15歳です。」
山田楓…、どこかで聞いたことがあるな。どこだっけ…。
考えていると、華が笑いながらこっちを見ている。
「楓ちゃんは、桜ちゃんに会いに行きたいのね?」
「なんでそれ、」
「四年前、ある一家を襲った恐怖。当時9歳だった桜ちゃんを、あなたの目の前で殺された。」
黙り込む楓。その顔は、今すぐにでも泣きそう。
「会いにいきたい理由は…?」
「…謝りたいんです。あの日は桜の誕生日だったのに。」
『あら、それはお気の毒に。』
「……謝りたいだけ?」
そう言われて、目を見開いて黙り込む楓。
あまり追い込むな、そう言いそうになってしまう。
『華、相手は子供だぞ。優しくしてやれ。』
そう言えば、徐々に曇っていく楓の顔。何かあったのか、と不安になっていく。
今まで、こんなことなかったのに。
「……やっぱり、私は子供ですよね。」
それだけ言って、出て行ってしまった。
今の発言、何が何だか全然分からない。
ぼーっとその後ろ姿を見つめていると、頭を叩かれる。
「ひなたのせいよ。」
『は、なんで私なの。』
「さっきの発言、あの子私たちの声が聞こえるのよ。」
『そんなの感じなかった!』
「とうとう鈍くなったのね。」
そう華は言って、春用のコートを着る。
『どこ行く気?』
「楓ちゃんのとこ。」
『お前、今日自主休講してるだろ。』
「でも、心配。」
相変わらずお人好しだな。これで何回目のつもりだ。もう勝手にしろ。
そう言いたくても、言葉にできない。正確には言えない、が正しいだろうか。
そんなことしてる間に、華はパンプスに足を通していた。
『待て。私も行く。』
「どうせ、お人好しだとか思ったんでしょ? 来なくていい。」
『言っとくが、これは私の意思じゃない。パートナーだからだ。』
上手く、言葉にできない。素直に言っておけばよかった。
そんなことを考えていると、華が笑っている。ここで言い返せば、何を言われるか分からない。
だから、黙って目線を外した____。