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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 4
118/180

碧い風 ③


「お名前、お聞きしてもよろしいですか?」


「成田、俊介です。」



成田俊介、どこにも名前は書かれていない。初めての客だ。

こいつが、どこで華に接触したのだろうか。


華は静かにメモを取って、話を聞いていた。

その時の私が見えている世界は全て濁って見えて、全てがスローモーションの様に動きを止めた。


気づいたら、もう華と楓の二人しか、目の前にはいなかった。



『あれ…?』


「もうお帰りになったわ。ひなた、仕事。」



書かれていたのは、 “ 月影はるひ ” という名前。

二人の関係性としては、いじめっ子といじめられっ子。ただ、いじめていた成田俊介が、いじめられていた月影はるひに会ってどうする。今さら会ったところで、何も得られないだろう。

それも、月影はるひが亡くなったのはおよそ8年前。当時17歳の時だ。

こんなに月日が経ってるのに、なぜ…。


行くだけ行こう。これは仕事だ。




会ってびっくりした。夢の中の人と同一人物。

手のひらの大きさも、全てが一致する。

彼から漂ってくるチョコレートの香りが、少しだけ酔いそうになった。

その香りは、彼がいなくなった今もこの部屋に残る。

少し甘ったるいその香りを、私は無心で消し去った。



「華さん?」


「甘いね、この香り。」



しっかり仕事をして、しっかりコミュニケーションをとって、ある程度の休息をとって。

それなのに、なんで私は疲れているのだろうか。不思議。






いつも通り、天界への道を辿った。たくさんの光に覆われ、私は向こうへと急ぐ。


華は平気なのか、私の中での不安は消えない。でも、楓がいる。だから平気。


なんて、思ってちゃダメなのかな。

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