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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 4
115/180

奪還 ⑦


『夜月、おかしい。』


『分かってる。わざわざ招待してくれてるんだろう。』



私たちはそっちの方向へ向かった。

扉に手をかければ、開かない扉。これは自分たちで開けろ、ということなのだろうか。



『私に任せて。』



おばあちゃんが、針金で鍵を開ける。あまりにも複雑なのか、すんなりとは行かない。

そんなとき。



『開いた…。』



おばあちゃんがボソッとつぶやいた。

開いたことを確認するためにも、扉を開いた。



『華!』


『華ちゃん!』



扉を開けた先にいたのは、紛れもなく華だった。

お姫様のように、プリンセスベッドに寝かされている。招待されているはずなのに、こんな華1人無防備に寝かせておくはずがない。

私は周りを見渡す。



『ひーちゃん、今のうちに。』


『そうね。』



名前が戻っていることにはあえて触れずに、華が寝ていた状態のまま持ち上げた。

そのとき、



「何してるの。」


『お前…っ、』



扉にもたれかかって、そう言葉を発したのは紛れもなく、翡翠だった。

瞳の色は殺意に溢れている赤。私たちは思わず後ろに下がってしまった。



「僕のお姫様をどうする気?」


『ひーちゃん!』



おばあちゃんの手に触れ、その場を一目散で逃れた。その時に見た華の顔は冷たく、いつもの華じゃなかった。そして、目も覚まさなかった。



『翡翠様、あれでよかったのですか。』


「ああ。これから、でしょう?」



そんな会話がされていたことも知らずに。















華の見ている世界と、私が見ている世界は違うのか。

今さっき、お前がいた世界は、お前の住んでいい世界じゃないんだ。

ちゃんと戻って来たから。お前が生きている世界に。


だから早く。お願いだから、華。


目を覚ましてくれないか。

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