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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 4
114/180

奪還 ⑥


作戦実行時刻、人間界で言う、午前5時。あまりにも早すぎる。あたりは徐々に明るくなって、外には人も段々と出てきている。



『行きましょうか、ひーちゃん。』


『そうね。』


「気をつけて、行ってらっしゃい。」



あの男の謎は解けないまま、私たちは黒沢家の門を出た。

気がつくと霧が少し浮かびつつも、不気味な場所にたどり着く。道端に立てられているろうそくに、薄暗いこの廊下。一気に揺れる炎に、びくっとなった。

今から私たちはこっち側の人間の、「白夜と夜月」。



『どこにいるのか分かってるの?ひーちゃん。』


『夜月。って言わないと、怪しまれるわ、白夜。』



まだどこか慣れないのか、“ ひーちゃん ” と言おうとするおばあちゃん。ただ、それはここに住む人たちからしたら、怪しまれる対象。



『きっと奥の隠し部屋にいるわ。』


『さすがね!ひ…、夜月…。』



また言おうとする。やっぱり慣れてる方でしか、呼ばないのだろうか。

この長い廊下をこつこつと歩いていく。下には深緑の長い絨毯。ここで転んでしまえば世の終わり。それほど長いのだ。きっと直すのは大変。

そんなことを考えていれば、前から現れる人影。



『お疲れ様です。』


『…お疲れ様です。』



黒のローブを着た人たち。挨拶をされれば、返さないとそれはおかしい。

それに、私たちもフード付きのローブを着てきて正解だった。ずっと最後まで悩んで悩んで着てきたもの。これがなくなると、派手で綺麗なお着物が現れるのと同時に、私の白襟が目立ってしまう。

そう考えると重要なのかもしれない。



『もう少しかしら。』


『もう少し…』



前にあった場所とは少し変わっている。誰かが嗅ぎつけて、わざわざ部屋を変えたのだろうか。でも、そんな面倒くさいこと、誰がやるのだろうか。

私だったら絶対にやらない。

そう思っていると、ガタガタという音が奥から聞こえた。まさか、とは思うが、そっちの方向に目がいった。


やっぱり。


向こうの方で隠し扉が姿を現した。

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