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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 3
105/180

洗脳 ③


何時間、何日、経ったんだろう。殴られて、泣かされて、顔がパンパン。

こんなにも華を守れないことなんてあるんだろうか。こんなに近くにいるのに。もしも、華に危険なことがあったものなら。

私は一生をかけて、悔やんで悔やんで、後悔するだろう。

誰か、私を助けてくれたらいいのに。



『ひーちゃん。』


『え…?』


『しっ。今縄といてあげるから、あいつにバレる前にこっちへ来なさい。』



こんな簡単に人生うまく出来てていいのか。生前にはなかったくらいの温かな温もり。心も体も冷えていたのに、一気に温かくなる。



『とけた。行くよ。』



おばあちゃんの優しさを、身をもって知る。自分が生きていた頃は、もう既にいなくて、あまり関わりを持っていなかったおばあちゃんが、私の手を握る。

母みたいに冷たくなくて、華みたいに心へ染みていく。



『おばあちゃん…』


『顔パンパンにして…。痛かったわね…。』



そう言って、私の頬に温かいその手が触れる。

少し血が出ていたところに、その指がひやっと当たる。ちょっと染みて痛いのに、心が軽くなっていくから、どこか不思議。

それでまた涙が出てくるから、また頬を濡らす。



『もう、泣かないの。』



そう言って、急に現れる空を飛んでいる感覚。

あそこから離れられるんだって。縄で結ばれていた所は、痛痒くて、ぞわぞわする。



『華ちゃんは、絶対に救うから。』


『華…、冷華だって…、』



冷たい華。触ると凍る、美しい花らしい。そんな名前をあいつに、黒沢華に。

これ以上汚れるようなことをしないでほしい。華は純粋だから。まだ幼き心を持っているから。それを壊すようなことを…。

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