会いたい理由 ①
この狭い世界には幽霊が見える人がいる。その人たちは霊能力者として、密かに生きている。
誰かとは違う、この能力。自分だけが、友達も家族も持っていない特別感。そんなもの。
それだけで私の心はドキドキしていた。
この能力は会話ができるの。もうこの世にはいない人と。そう、この能力を使えば、誰かに会話をさせてあげることができるの。
死んだ人と、生きている私たちと。でも、これが使えるのは、一生のうちの二回だけ。
いつ使うかは、あなた次第____。
「華ー!」
「んー?」
この能力が使える、黒沢華。職業、学生。大学に通い、笑顔絶えない生活をして。でも、見えるんだ、この子は。この世にはいない人が。
滅多にいない見える人に、胸がドキッとした。
「華は知ってる?」
「何を?」
「霊能力者。」
「どういうこと?」
知ってるくせに。私と華はもう契約を結んだ。あなた自身がもう霊能力者なの。
「霊能力者って、私たちに死んだ人と会話をさせてくれるらしいよ。別名はゴーストアビリティー。」
華はそこまで聞いて、やっと自覚した。
それからというもの、華は黙って頷いているだけだった。
そんなことも知らずに、華の親友である泉と凛が話を進める。後の話はもう頭に入りきらなかった。
最近ゴーストアビリティーの利用者が増え、こういう風に話題にもなって、華はそれが嬉しかった。
でも、よくよく考えてみれば、これは喜んでいいことなのか、不安になる。
「華ー?」
「泉はそれを使いたいの?」
「えー?使わないよ。だって、私の周りに亡くなった人いないし。」
あっという間に使う日は来る。だって、そろそろあなたの身内に何かが起こるのだから。
ゴーストアビリティーは未来も任されている。つまり、予言ができる。基本的にそれができるのは、主人のパートナー。華で言えば、この私。
神様から届けられる封筒には、これから起こることが書かれている、その手紙を見ていいのは、もう亡くなった人間。つまり主人のパートナー。
ゴーストアビリティーだからといっても、あくまで主人は生きている人間。普通の生活に支障をきらさない程度に、役割を果たしている。