初めての街に到着
どもども、Kneeさんです(*´ω`*)
突然ですがタイトルを変更しました。
もともと30秒くらいで考えてたやつだったんですけど、さすがにこれじゃダメかなと思って変えやした。
また気が変わったら変えるかもです(^_^;)
「なるほどな。 だいたい理解したよ、ありがとう」
「どういたしまして! なにか思い出せないかな?」
「…いや、ダメみたいだ」
「そっかぁ…」
ルルに案内してもらい始めてから30分程たった。
メニュー画面には時刻が表示されており、時間を知ることが可能だ。
ただこの時間がアンダーワールドの適正時刻なのかは不明なので、今は時計としては使用していない。
俺は歩きながらこの世界の事を教えて貰っていた。
俺が最初に驚いたのは“アンダーワールド”が世界名ではなく“国名”だった事だ。 ワールドってついてるのに国だった。
ただ、この世界に生きている人間は全てアンダーワールド国民で、この広大な地下空間で暮らしているらしい。
地上に何故出ないのかと聞くと「人が住めない環境らしいよ」と返された。
「ライトは街についたらどうするの?」
「あー、どうしようかな。 冒険者とかって職業はある?」
「聞いたことない…かな」
「さいですか…」
異世界なのに冒険者は無いのね。
これは金を稼げなくて詰むパターンかな。 あのクソ神様め。
「良かったらうちくる?」
「えっ」
ルルさんそれは、…いいのかい?
俺も一応18歳の健全な男の子だよ? しかも出会ったばかりの。
「うちはね、《剣術》を教える道場をやってるの。 お手伝いさん募集中!」
「Oh…ドージョー、デスカ」
「う、うん? 今は掃除とかを手伝ってくれるお手伝いさんを探してるから、職がないなら取り敢えずでどうかな?」
これは、勘違いした俺が悪いです。
ごめんなさい。
「ルルの家がゆるしてくれるなら是非! ただ、常識とかもちょっとズレてるかもしれないから迷惑かけるかも」
「大丈夫だよ。 そういう事も教えてあげるね!」
「本当にありがとうございます」
俺を転生させた神様よりも神様っぽいよ、この娘。
ルル教っていう宗教を作って拝みたいレベル。
「ルルも《剣術》を習ってるの?」
「うん。 でも私はもう《剣術》は習得したから、今は修行中だよ。 やっと《三連強斬》の成功率が5割を超えたんだぁ」
「頑張ってるんだな」
どのくらい凄いのかは分からないけど、恐らく相当努力しているのだろう。
「ちなみに《剣術》の派生スキルは───」
ルルが教えてくれた事をまとめるとこんな感じだ。
《剣術》
武器系技能
説明:最も一般的で、有名な技能。 これを習得すると“斬る”“受け流す”など剣を上手く扱えるようになる。 多くの技能に派生していく。
派生:
└【強斬】
└【二連強斬】
└【三連強斬】
└【四連強斬】
└???
└???
└???
etc……。
どうやら《剣術》はパッシブスキルの様なもので、そこから派生して“攻撃技”がアクティブスキルとして習得できるようだ。
ただほとんどの技が失伝しており、ルル達のような民間の道場は4つまでしか派生スキルを知らないようだ。
他の派生スキルは偉い貴族が秘匿してしまっているらしい。
ちなみに《槍術》や《短剣術》などもあるらしいが、教えている道場は《剣術》に比べると少ないみたいだ。
「剣を使えるようになったとして、何と戦うんだ?」
「何とも戦わないよ。 強いて言うなら街の治安維持かなぁ」
「…そうなのか。 剣とかって街の人、皆が習ってるのか?」
「そうだね、伝統みたいなものだよ」
「伝統…か。 この国の歴史について教えてくれないか?」
「いいよー。 けどそれは家に着いてからだね。 ほら、街が見えてきたよ!」
ルルが指差す先、そこからは眩しい光がさしていた。
◇
「なん…だと…!?」
俺達がたどり着いた街〈チックェン〉は、地下である事が嘘かのように明るかった。
光源を求めて視線を上へと向けていくが、天井そのものが光っているかのようで光源らしい光源は見当たらない。
「? あ、この街が明るいのは“光石”おかげなの。 光石は地上の光を吸収しては隣接する光石に光を渡していくの。 そうやって回り回った光が天井から降り注いでいるの」
「へぇ…。 そりゃすごいな」
「他の街も明るいよ! 街と街を繋ぐ道は暗いけどね…」
「他の街ってのは下にあるのか? それとも横?」
「横だよ。 下に行き過ぎると光石の光が届かなくて真っ暗な街になっちゃうらしいの」
ほえー、これなら昼と夜はしっかり別れそうだな。
「さっ、私の家に早く行こっ!」
「お、おう!」
女の子に「家においで」なんて言われるのは前世においても限りなく少なかった。
そんな俺が今のセリフにドキドキしてしまうのは仕方の無いことだろう。
「確かに剣を持った人が多くいるな」
街並みはアニメなどで見る異世界とほとんど変わらない。 地面が土ではなく岩というのが唯一の違いだろうか。 中世ヨーロッパ的な感じだ。
そこでふと1つの疑問が生まれる。
「なあ、食べ物ってどこでとってるんだ?」
「作物は育てられる環境が限られてるけど、大体は魔法で創った土だよ。 畑を作るのは大変みたい」
「肉とか魚は?」
「お魚はとれる場所がかなり限られているの。 私たち庶民はお祭りくらいでしか食べられないよ」
「へぇ〜」
「お肉はもっとかな。 私は食べた事がないの」
栄養バランスが偏りそうだな。
大丈夫かこの世界。
そうこうしているうちにだいぶ街の中心部にきた。
お、何か1人こっちに近づいてくる人が。
「おーい、ルル! 遅かったじゃないか!」
「あっ、お父さん!」
「心配したぞ。 そちらの方は?」
ルルのお父さんだったようだ。
「初めまして、ライトです。 記憶を失ってしまって途方に暮れていた所をルルさんに助けて貰ったんです」
「おお、そうだったのかい。 さぞ大変だっただろう。 うちにおいで」
ごめんなさい、そんなに大変じゃ無かったんです!
どころか記憶もあるんです……!
俺が内心で土下座と謝罪の乱れ打ちをしている間にルルとルルのお父さんは俺を家に呼ぶ事に決めたようだった。
「私の名前はドラタだ。 よろしく頼むよ」
ドラタ…ドラ太……。 何か見事に混ざってるな。
タケ○プターとか持ってるかもしれない。
「じゃあ家まで案内するよ」
「お願いします」
今日は案内されてばっかりだな、と思いながらついて行くライトだった。
…何で変な事1人で言ってんだ、俺。
◇
「じゃあライトの部屋はここね」
「何から何まで悪いな、ルル」
「大丈夫、その分働いて貰うからねっ!」
「…お手柔らかに」
ルルの家につき、簡単に各部屋の位置などを教えて貰った俺は自分の部屋となる場所に案内された。
「夕飯になったら呼ぶからそれまでは自由にしてていいよ」
「了解、夕飯が何時頃になるかわかるか?」
「ライト、時計持ってるの?」
「ああ、時刻が分かるものなら持ってるぞ」
メニュー画面にあるから、持ってるっていう表現は微妙だけど。
「凄い! 時計を持ってるのって偉い貴族や王族だけだよ!」
そ、そうなのか。
これからはあまり口外しないようにしよう。
「街の皆はどうやって時間を知っているんだ?」
「中央の広場に大きな時計があって、1時間毎に金がなるの」
「へぇ、ちなみに今は3時36分だけど、夕食は何時頃になるかわかる?」
「ふ、分までわかるんだ…。 えっと6時頃かな」
「わかった。 何か手伝う事はある?」
「んーん、休んでていいよ」
「じゃあ5時30分まで街を見てくるよ」
「うん、迷わないようにね」
ルルの優しい言葉を背に、俺は見知らぬ街へと足を踏み出した。
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