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1-2 ドラゴンの背中。


大口開けた、ドラゴンの口の中はよく見えて、大きな鋭い牙がびっしり並んでいた。特に八重歯は自分の背丈ほどあるぐらいの長さで、先が鋭く尖っている。ボクのこと今すぐにでも食べんばかりにとても大きな口を開けボクを見ている。きっと、この口の大きさなら一口でパクリだろう。ボクはただ頭の中で単語を連発していた。さっきまで感じていた風は止まったかのようになっていた。


「おーい・・・って、答えてくれないのか。

 無視ですか?寂しいよお。」


ドラゴンの口が大きく動いて、大きな息で話し始めた。ボクの頭は完璧に考えることを放棄して、呆然と突っ立って、ドラゴンの話を片方の耳から入れて反対側から出すという行為を行っていた。


「・・・おはようございます・・・」

「あっ!喋ってくれたぁ!こちらこそおはよう。

 ああ、やっと返してくれた。俺、ずっと心配だったんだよ。

 もしかして、あれのせいで喋れなくなってるんじゃないかって。

 でもよかった。言葉も失ってないみたいだし。それでさ・・・・

「あれのせいって何ですか。」

「敬語じゃなくていいよっ。少し時間をもらうけどいい?」

「いいです。」


ドラゴンはそう言うとまた前を向いて、ぺちゃくちゃ喋り出した。


このドラゴンちょっとフレンドリーすぎやしないか?このドラゴンと言うかドラゴンとあうのは初めてのはず。普通ドラゴンっていったら、小説や漫画だと落ち着いた性格が多いが、コイツは同じ年のカマチョに見えてくる。それか、それともさっき「俺」と言ったからただの女好きである可能性。でも、ボクのこの服装では男の子に見える。なわけ、無いよね。


「ほらほら、もうすぐだよ。」

「何?」

「しっかり見ててよね!」


遠くでゴーという音がする。そして、何かがはためく音。少しずつ、薄くなっていく霧の向こうに何かが見えた気がした。ドラゴンの背中にしがみついた。しがみつくところなんて無い。でも、なぜか落ち着く。


急に視界が明るくなる。目を覚ましてから、ずっと濃い霧の中にいたせいだろう、あまりの眩しさに瞼を閉じてしまった。


「ねえ、見てる?」


ドラゴンの声がするいったい何があるのだろう、好奇心は人間で一番強いものだ。そんな、ものに、勝てやしない。ボクは少しずつ、目を開く。白くて、眩しくて、何なのかさっぱりわからない視界が広がっていたところには。


「わあ・・・・・・。」

「ん。見れたみたいだね。綺麗でしょ~!!」


ボクの頭は真っ白になった。さらに語彙力を失って、その風景に眼を見開いた。下にはうっすら霧のかかった緑の森と頭上には青い青い空。雲一つなく、手を伸ばしたら喰われてしまいそうなくらい澄んでいた



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