永い眠りから目覚めると3
この話をどう進めて良いのか分かりません。書きながら流れに乗ってるだけで。
どうなるんだろう。
11月17日、大幅に修正しました。話の流れには影響ありません。
早速、扉に付いているあの木の札を差し込むところに所に木札をを差し込んでみると、
カチン。
軽い金属音を立てて鍵の開く音がした。
やった!
勢いよく取っ手を掴み引いてみるが、開かない。
押してみても開かない。
横に引いてみたけどやっぱり開かない。
なんでだよっ!
俺は鍵を床に叩き付ける。
扉の蝶番部分が見当たらないため、どっちに動くかも分からないのでお手上げ状態だ。
くそっ。
思惑通りにいかなかった事に空腹も相まってイラついた俺は扉を殴り付ける。
ガンッ!ガンッ!
そして、次の瞬間に扉が自動で開いていく、上に…。
上かよっ!
扉の中は真っ暗で、入り口からは部屋の奥まで光が届かないが、入り口脇の壁に貼られたポスターを見て怒りが込み上げる。
『入るときは、ノックを忘れずに!』
何処だ?何処に行けばこの施設の関係者に会える?
普通は外に貼るものだろ!鍵が掛かった部屋の鍵を開けて入るんだから、ノックなんて要らないだろ!
突っ込みどころ満載の展開に、やり場のない更なる怒りでイライラしながら、扉を潜ると自動で部屋の中のライトが点灯する。
そこで、俺が目にしたものは、3畳ほどの広さの小部屋だった。
狭っ!?
他の階と同様の大きさの部屋だと思っていたのに、思わぬ光景に怒りが一気に消え。
周りを見回してみるが何もない。
が、判ってるさ。ここのやつの腐り具合なんてな!
俺は今入ってきた扉を下へと動かし閉める。
そして振り向くと、狙い通りそこには1枚の扉が現れていた。
今回は特に鍵も付いていないのでドアノブに手を掛け引いてみる。
開かない。
押してみる。
開かない。
上に上げてみる。
開かない。
横にスライドさせてやると、かなりの重さを感じながらも扉は開いた。
もう、良いってんだよ。そんのイタズラはっ!
部屋の中から差し込む眩しい光に目を眩ませながらも部屋の中に入る。
明るさに目が慣れて、俺が見たのは。
一面に広がる広大な草原だった。
はっ?あれ?外に出れたの?
??????????
遠くには森林が広がっているのが見える。
空も青く晴れ渡り、穏やかな風が吹いている。
ただ、おかしな点は、俺が今出て来た扉。
扉だけが何もない空間に建っている。
まるで某アニメの少し不思議アイテムみたいに。
「おーい、早くドア閉めてもらえないかな?」
突然声を掛けられ、そちらを見ると1人の男性が少し離れた所からゆっくりと歩いてきていた。
「えーと、この施設の方ですか?」
「この地下3階エリア限定だけどね。この階を担当しています。」
「で、今日は、どうしたのかな?」
「あっと、あのですね。この階は食糧庫ではないんでしょうか?
」
他にも色々と聞きたいこともあったけど、とりあえずはこの階に来た目的を尋ねてみる。
「?食料庫と言えば食料庫だね。この地下3階は多目的観測施設だから、食料となる動物なども居るから。」
「多目的観測施設?」
「そうだよ。この広大な位相空間に地球環境になるべく近付けた環境を作る事によって、色々な種族との共存の実験をし、実世界で展開しても問題無いかを事前に観察する訳だ。」
何となくは言ってることはわかるんだけど、そんな事が今の科学技術で出来るなんて到底思えないんだけど。
この空間も、外に出れた訳じゃないのかな?
「ここは施設の外じゃ無いんですか?先程この階限定の管理者と仰っていましたけど?」
「いや、外ではないよ。地下に人工的に作られた空間としか説明出来ないんだけど。」
やっぱり、今の科学技術じゃあり得ない。最先端の科学技術だとしても行き過ぎだろう。
「ここまでの施設を作ってまで、観察する事なんてあるんですか?連合国家が樹立された際に厳しい環境基準が作られて、滅びるだけだった動物なんかも一定の水準以上まで頭数が戻っているって聞きましたけど。」
「最初のうちはうまく回っていたようなんだけどね。第一、環境基準の遵守なんて最初の100年だけで、連合国家なんていってもどんどんと国家間軋轢が生まれ始めて結局は500年後には解体されたから。こんなのは中学生位で習う事だと思うんだけど?」
不思議そうな顔をしてそう言うが、俺からしてみれば連合国家の樹立はまだ100年位しか経っていないのに、解体されたなんて言われてもこっちが戸惑ってしまう。
「連合国家樹立はまだ100年くらい前の話だったと思うんですけど?」
「100年?連合国家樹立は今から凡そ1500年程前の出来事だった筈だけど?そして、さっきも言ったように500年前に解体されたんだよ。その1番の理由は、あの巨大なガス惑星との衝突が原因で食糧などを巡って国家間の衝突が激しくなってしまった事だと思う。そんな時こそ連携しないとならないんだけどね。」
俺の質問に少し不思議そうな表情を浮かべながらも、男性は説明してくれるが、内心それどころではない。
連合国家設立が1500年前?ガス惑星の衝突?
空想的な出来事みたいな内容を、たんたんと話してくる男性が嘘を言っているようには見えないが。
どう考えてもそんな事は信じることが出来ない。
「あの、失礼ですけど、俺はそんな話は聞いたこと無いんですけど?」
「何だか随分と話が合わないと思ってたんだけど。もしかして、君はここの研究員じゃないのかな?」
「そうです、研究員ではないです。バイトで来てたんですけど、気付いたら上の階に居たんですけど、何が何やらわからないんですよ。」
「なるほど、君はあの事故の被験者か。」
「事故?」
「だとしたら、詳しいことはなにも知らないようだね。もっとも私も実験当初はまた産み出されていなかったので、残されている情報しか教えてあげられないんだけど。」
それから、1つずつ丁寧に説明してもらった内容は、直ぐには信じられない出来ない事ばかりだった。
この広大な空間が本当に外で無いのかどうかはまだ判らないけど、あの吹雪の外に空想上の生物だと思っていた龍を見てしまったので完全に否定することは出来ない。
男性に話して聞かせてもらった内容をかいつまんで、先程の連合国家解体後の流れを時系列順に並べると、おおよそこんな内容だった。
1、1000年前にガス惑星が衝突。衝突っていうか融合?
2、ガス惑星のガスが地球の大気と混合し世界中に拡がった。
3、700年程前から、異形化した生物が出現。最初はネズミなどの小型の動物だけだったが、次第に大型の哺乳類等も異形化。
今ではほぼ全ての生き物が異形化しているらしい、モンスターみたいなものかな。龍とかは何が変異したものかはわかっていないらしい。
4、600年前に最後に残っていた国家が崩壊。最も、通信網や電気なんかも殆ど機能が停止していて、国家の役割なんかほぼ果たしていなかったようだ。
5、生き残った人々は数百人位で集まって小さな集落があちこちに築かれ始めているらしい。これが400年前の話。
6、そして、300年前位になると人々は何とか異形化した動物、まぁ、魔物とでも呼ぶか。魔物を狩れるだけの力を付けた人達が現れ始めて人を魔物から守ったり、狩った魔物を食糧にして生き延びているようだ。
「300年前までは、施設の観測衛星が情報を送ってきていたけど、今はそれも無くなってしまったから。」
「この施設にあなた以外の人は居ないんですか?」
「人は誰もいないね。ちなみに、私も人ではないよ?ただの、この階の管理をしている擬人データバンクでしかない。1500年前の君に簡単に説明するとしたらロボットみたいなものかな?」
男性はそれだけ言って歩き始める。
「さて、ここらで休憩にしようか。君は腹が減っているんだろ?私は食事は必要としないが、材料は保存されているから食べるといい。その後に他に聞きたいことがあれば私の知っている事なら教えてあげるよ。」
「色々と、ありがとうございます!」
そう言って俺は、後を着いていく。
何はさておき、ようやくありつける食事に期待しながら。
読んでもらってありがとう。
スローペースな投稿になると思いますが、気長に待って頂ければ幸いです。