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ご近所さんは今  作者: Tarcy
2/2

大丈夫かな?

引越し当日、もう三月も後半、この日は部屋を見に行った時とは打って変わっての晴天。桜の花も満開に近づいていて何か新鮮な空気だった。


「まぁ、また暇なったら遊びに行くわ」


と言って、近くの駅まで見送りに来てくれたのは四つ下の妹。ちなみに俺は現役生なので妹は今年から高校一年生だ。うっせぇーよとでも言ってやろうと思ったが、オカンやオトンが見送りが無くて唯一の兄妹が来てくれて嬉しかったので


「あぁ、見送りありがとう、いつでも来い」


何か言って、良い兄貴ぶって照れ笑い。俺はそんな風に頭を使って良い人を造って来たな〜なんて思いながら電車に揺られ1時間半、そして徒歩十分。俺の新生活が始まるアパートに着いた。そして大家さんの家のインターホンを押した。


「はい!」


と女の子の声が…。そこで出てきたのは、黒髪ロングで、目がクリッとした女性…。あれ?この前の小学生の女の子では無い…?


「もしかして、今日からうちのアパートに越して来るって言ってた高奥さんですか?」


と声をかけられたが、しばらく見惚れてしまっていて、少し遅れて、


「あっ! はい、そうです何か?」


とよく分からない返事になってしまった。まさか、こんなところで超タイプの女性と出会えるとは…。


「何か? えっと私何か言いましたっけ?」


「あっ、いやいや俺の返事が完全におかしいよね、あはは…」


何を緊張してんだか、アホか俺は。


「おもしろい人ですね」


と彼女はクスッと笑って、


「私は中原真亜梨なかはらまありです、父は不在ですので私が部屋の事とか案内しますね」


と飛び切りのスマイルで言ってきた。あまりの瞳の綺麗さに吸い込まれそうになった。階段を登って、二階の奥の部屋に着いた。


「大きい荷物は後からですか?」


「あ、うん、ねぇ君、いや真亜梨ちゃんはいくつなの?」


「私は十三歳です」


「え? 中学生?」


「はい、老けて見えました?」


と満面の笑みで真亜梨ちゃんは言った。


「違う違う、大人びて綺麗で、まるで中学生のとは思えなくて、ビックリしたんだよ」


とまるで口説こうとしてるような言葉で返事してしまった。


「綺麗だなんて、嬉しいです」


と照れ笑いされると、もう俺の心が持たない。

「学校でもモテるでしょ?」


と俺が軽い感じで聞くと、少し顔色を変えて固まった。しかし、その後、


「高奥さんは、おいくつなんですか?」


とまた彼女から別の会話を始めた。そんな会話をしながら、部屋に寝具や必要最低限の物を準備して、できた頃には夕方の六時を回っていた。こんな時間まで大家さんは何をしてるのか気になったのは作業が終わってからだった。


「まず最初のご近所付き合いとして、私の家に夕食を食べに来ませんか?」


俺が疲れた感じで部屋に座っていると、真亜梨ちゃんが言ってくれた。


「良いの? とても助かるけど」


と俺が言うと、微笑みながらオッケーサインをされると、また俺の心は…。頭の半分?いや八割くらいが真亜梨ちゃんになったところで気が付けば一階の大家さんの家にいた。


「カレーですけど良いですか?」


「もちろん、ほんとにありがとう」


なんであろうと文句が言えるはずが無い。カレーを温めてもらっている間、失礼だが、あまり味気のない居間を見渡していると、大きくドアの開く音がした。


「誰!?」


と言って、そこに立っていたのはあのツインテールの女の子。


「君か〜、久しぶりだね、ところで…」


と俺が話をしようとすると、割と怖い顔で、


「やっぱり来ちゃったんや」


と言ってドアを閉じてしまった。俺はただ名前を聞こうとしただけなのに…。嫌われたのかな?


「ごめんなさいね、あの子人見知りだから、名前はふわりよ、ひらがな三文字で」


「姉妹?」


「そう二人姉妹です」


と真亜梨ちゃんのフォロー。にしても変わった名前してるんだな、と少しばかり思った。


「そんなことより、できたんで食べてください」


と言われて前に置かれたカレーを大きな声でいただきますをして頬張った。味は何とも言えない美味しさだった。食べ終わって部屋に戻って、眠れるまで少しだけ書類の整理などをやっていると部屋の扉をガンガンされる音が聞こえた。めんどくさそうではあったが仕方なく扉を開けると、ショートカットで垂れ目の女性が座り込んでいた。酔っているのかな?


「誰だ? あたいの部屋に勝手に入り込みやがって、救急車呼ぶで」


「それを言うなら警察でしょ、それに救急車呼んだらあなたが確実に運ばれますよ」


「何やて!?」


完全に話にならないくらい酔っている。そして誰なんだ、まだ挨拶回りをしていない俺も悪いのだが、いきなりこれとは先が思いやられる。そんなこんなを考えながら酔っ払いを相手していると、いつの間にか俺の部屋に、しかも土足でその女性が入り込んでいた。


「まず名前を教えてください! お隣さんですか!?」


と体をトントンと叩きながら尋ねたが時すでに遅し。スヤスヤと眠りに着いていた。とりあえず毛布をかけて朝まで寝かせてやることにした。そんなハプニングなどもあり下宿一日目が過ぎて行くのだった。

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