メニュー
気が付くと、堺斗は自室の真ん中に立っていた。
『ニューゲートオープン』
堺斗がそう言うとシャランと鈴の音がして堺斗の前に扉が現れた。
扉の大きさは堺斗より数センチ大きい。色は白一色で、装飾の類いは一切無い。
堺斗は扉のドアノブに手を掛けると勢い良く開け、扉をくぐる。
一瞬の眩さの後、見えたのは草原だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほっはっよっと」
現在、堺斗は体を動かしている。先に神に渡された力は少しは調べているので、次に自分の世界と違いはないかと体を動かして調べていると言う訳だ。
そして、この世界に行く時に神から渡された力は二つ。
一つは『ゲート』の力。これは、異世界に渡る力だ。本来は、堺斗のいる世界とこの異世界はそれぞれ隔離されて干渉出来ない。だが、神から渡された力によって行き来できる。さらに、神の計らいにより元の世界に戻っても時間は進んでいないよう設定されている。
二つ目は『メニュー』の力。これは異世界でのみ使える力だ。この異世界では、ユニークスキルと呼ばれるものだ。効果は、ゲームで良く出てくるような、Lv.・HP・スキルの名称、効果、割り振り・アイテムの名称、効果などがいじったり、解ったりすると言うとても便利なスキルだ。普通の場合、能力を知るためには能力判別紙や能力判別石が必要となる。そして、任意にスキルの習得や成長先のスキルを決める事は出来ない。だからこの世界ではユニークスキルと呼ばれる特殊なものに分類される訳だ。
いくらか動いて、元の世界と差がないと分かったところでメニューを開く。普段は視界内に存在し無いが、メニューと念じると視界内に表示される。色々な欄を開いたりするには、それを開くと念じるか、指先で視界に表示されてる所をポンッと触ると開いたり閉じたり出来る。普段は指で触る方が楽だが、このメニューが他の人に見えるか分からないので、他人に見えたら指先で、見えなかったら念じてと決めて街へ向けて歩き始める。
メニューの力は先に挙げたものだけじゃない。他にもマップや時間表示等もある。今はマップを使い一番近い街に向かっている。マップには赤い点や黒い点などが動いてたりする。赤い方は街の近くの森に有るので獣や魔物だろう。逆に黒い点の方は街の中にたくさん有るので人だろうと、早く会えないかとウキウキしながら堺斗は歩いている。
二時間程歩いたところで目の前に狼が一匹、凄い速度で走って来た。