玩具
「ボウズ、ナントカイッテミロヨ」
「ケンチャン、モウシッシンシテルヨコイツ」
この二人はボクの両親だけど、本当のパパは違う。今のパパみたいに怒って殴ってきたりしないもん。ママもなんだかこの人と暮らし始めてから変わった。全然笑わなくなったし、一緒に殴ってくるようになった。
ボクのパパはどこに行っちゃったんだろう? パパがいなくなる前、最後に一緒にいたのがボクだ。あの日はママがおばあちゃん家に行っていて、家にはボクとパパだけだった。
ボクがゲームで遊んでいると、見たこともない女の人が急に入ってきた。パパと仲良くお喋りしていたのでお友達だと思った。パパと女の人は何か探し物を始めて、部屋中を調べていた。しばらくすると見つかったのか、パパがゲームに夢中のボクに言った。
『サトシ、パパね、ちょっと今から出掛けなきゃならないんだよ。残念だけどお前はまだ小さいから連れて行けない。だから、部屋でママが帰ってくるのを待ってるんだよ』
ゲームに夢中のボクは、はっきり言ってどうでもよかった。でもそれ以来、パパは帰ってこない。ボクがちょっとでもパパを引き留めていたらよかったのかな。
パパ早く帰ってきて。じゃないとボク、この人たちに殺されちゃう。
息苦しくて目が覚めると、ボクは真っ暗闇の中にいた。たぶんゴミ袋の中だ。
少し前に、ボクの大好きだったダックスのティルが、パパとママに殺されてゴミ袋に詰められているのを見たんだ。それと一緒で、ボクは死んだと勘違いされてゴミ袋に入れられたんだ、きっと。
息が苦しいよ。でもなんだか体が動かないや。さっき蹴られたお腹も痛い。外はすごくうるさいけど、今どこに連れて行かれてるんだろう? ティルもこんな気持ちだったのかな。パパ助けて。
それから時間が経って、外が静かになった。何か話し声が聞こえる。
「わかったよ! 足元見やがって!」
今のパパが叫んだ。
ゴミ袋に入ったボクを置いて、パパは車で行ってしまった。怖くて動けないでいると、足音が近づいてきた。勇気を出して袋を破いて見てみると、おじさんが驚いた様子で立っていた。
「おや、生きていたのかい」
黙っていると、続けて喋りだした。
「私は医者だよ、安心しなさい。臓器摘出が専門だがね」
「ぞうきてきしゅつ?」
「とりあえず、おじさんと来なさい。君は他人の役に立てるんだよ」
「ありがとう。でもボク、パパを探すんだ。おじさんも手伝ってくれるの?」
「そうかい、全てが終わったら一緒に探してあげるよ……」
2009/3




