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南方朱雀編 ―第一話「紅の巫女、再び現る」

東京・代々木の神社跡地。

それは、かつて“南方の守護”として朱雀の結界が張られていた聖域だった。

だがいま、その場所は建設工事の真っ最中。地下を掘削したとき、“それ”は目覚めかけた。


 


「この場所、空気が違う」


御門 薫子は結界球を手に立ち尽くしていた。

彼女の隣には、晴雅、桜、そして紗夜がいる。


「明らかに“炎の気”が膨張してる。……まるで、朱雀が泣いてるみたいだ」


 


そこに、赤い巫女装束を身にまとう少女が静かに現れた。


「――その通りよ、薫子さん。朱雀はずっと、閉じ込められて、泣いていた」


彼女の名は、紅林くればやし 小夜さよ

前世においては、晴雅の弟子のひとり。だが――


「裏切った女が、何の顔して出てきた」

九条紗夜が舌打ち混じりに睨む。


「紗夜さん……私がしたこと、後悔してないとは言えません。でも、理由があったの」


「理由だ? じゃあお前があのとき“破軍星”の封印を裏切ったのも、晴雅様を庇って桜が傷ついたのも、全部“理由”で済ます気か!」


「やめろ、紗夜」


晴雅の低い声が、二人を制止する。


「俺がどう思ってるかは、俺が決める。……小夜、今のお前は何者だ?」


小夜は巫女杖を握り締めながら、まっすぐに見つめ返した。


「私は、朱雀と契約した“最後の巫女”。

 今も朱雀の炎が、私の中に燃えてる。

 ……次に朱雀が完全に目覚めたとき、東京は――焼け落ちるわ」


 


沈黙が落ちる。


「だからお願い。私を――ここで、斬って」


 


桜が剣に手を伸ばす。

薫子は静かに護符を握りしめ、紗夜は舌打ちをこらえた。

晴雅は、ただ静かに小夜の前に立ち――こう言った。


 


「お前がまだ戦う意志があるなら、誰にも斬らせない。

 でも、逃げるなら……お前自身が、自分を裏切ることになるぞ」


 


小夜の瞳が揺れる。

その中に、炎のような光が宿っていた。


「……また、救おうとするのね。あなたは、変わらない」

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