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Repeat  作者: 嵐 けだもの
伝承編
3/26

3.龍と消失

岩はさらに強くガタガタと揺れ出す。

痺れを切らしたビートが攻撃をしようとした瞬間、岩から煙が上がるのと共にガタガタは止まった。


なんだったんだ


一瞬の出来事だったため、ビートは戸惑っていた。


野郎。補助系だったのか。ありがとよ!


モロトモが言う。

ビートが視線をモロトモにもどすとその意味が分かった。

消したはずの右足が岩で形作られている。どうやら岩の能力らしい。


完璧な義足だぜ。


モロトモは多少重いがキック力が上がっていることを確かめながら軽く動く。


ビートは焦っていた。戦いで手の内がばれているのは相当不利な状況。しかし、逃げ出すわけにもいかない。大界天聖堂には数多の補助系の天使と来世を待ち望む、体の能力が衰えた老人、色を与えられていない怠惰な戦闘系の護衛天使がいるだけである。

"あと29…" "28人目はお前だ"

モロトモが発していたこの言葉が葬る人数を指す言葉だったら、この外に出すことは相手にとって都合がいいことなのは間違いない。

さらにこの大界天聖堂の近くの城には王、ピリオド様が居られる。何度も繰り返し自分が置かれている状況を考ていたが、半分もう覚悟を決めなければいけないことは分かっていた。


手の内を知られて、体の部位を消しても意味がない。どうするよ?天使さん


モロトモが強い目力でビートに言う。

もちろんビートは口を開き、こう言った


貫いて、この世から存在を消してやるよ


そう発するとビートは血まみれの腰を軽く抑え

ニタっと希望に溢れた笑顔を見せ、モロトモに迫る。それをスラっと完璧なタイミングでよけ義足の右足でビートの太ももを蹴り飛ばす。

ビートはバランスを崩し、蹴られた方向に飛ばされながら、モロトモの首あたりを軽く切り裂き、的をつける。

モロトモが傷の的をさすりながら、少し悔しそうな顔を見せる。

それに対して水道管をトントンと槍で音を立ててビートが挑発する。

モロトモは軽く苛立ち、ビートにとてつもないスピードで迫る。

モロトモは戦い出した頃と比べスピードは2倍近く跳ね上がっていた。彼は吸収が早かった。ビートの動きを参考にして自分のものにしたのだ。

迫ったモロトモがビートの右肩を手刀で貫通させる。

その痛みに耐え、モロトモの右手を一突きし、的をつけ二突きめをするが、モロトモが慌てて貫通した肩から手を引っこ抜いたため、軽くかすっただけだった。


岩野郎!!


モロトモが叫ぶと煙をあげ右手に岩の義手を作り上げる。

ビートは貫通した肩のせいでもう槍が両手で待てなかった。


勝負あったな。


モロトモが少し悲しそうに言う。

ビートは太ももの骨が粉々に折れ、腰、肩からの酷い出血でほとんど意識がなかった。


もう動かないでくれ。それ以上苦しまなくて良い。悔しいが俺1人では貴様を倒せなかった。貴様からは色々学ばせてもらった。


モロトモが優しい目で言う。スピード、判断力意志の強さ。モロトモはビートに対してすっかり尊敬の念を抱いていた。少しの沈黙の後、


‥…なない


ビートがかすれきった声で言う。


モロトモはそれを見ていられなかった。

早く楽にさせてあげよう。そう思い、手刀で首に狙いを定めた瞬間、ビートは左手で槍を掲げ、今度ははっきりと言う。


1人では死なない!!!


そういうと、水道管の方に槍を投げた。

モロトモはハッとした。

すぐさまビートの首を手刀で吹っ飛ばし、ビートを殺害したが、槍が的を貫き、水道管を破壊した後であった。


岩野郎!!俺に近づけ!!


モロトモは叫けんだ。結界内を全て飲み込むように水でトイレが満たされる。

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