24.アラノーク襲撃②
この世に性を受けてからこの国は一切の変化がなかった。毎日同じ顔、同じ街、同じ遊び…
僕たちには刺激が足りなかった。
"飽きる"という概念は僕たち生物が生きる中で最も強く、そして厄介なものであった。
"非日常"そんなものを求めていた節が僕にもあった。
しかし、蓋を開けてみるとこの変化というものは悲鳴、崩壊、化物。俺はこんな残酷なものを心の奥底で望んでいたのか。違う。こうもっとなんていうか、言葉にしようとすると難しい。
だが、今するべき行動は自分なりに分かっていた。
化物がマリッソに迫っている。
僕がするべきこと。
大好きなみんなを死なせないこと!!
「伏せろ!マリッソ!バリア!!」
ガンと化物がバリアにぶつかる音が響く。
良かった何とか守れたらしい。しかし、俺は戦闘系じゃないし、長い間守ることなんて不可能。マリッソの能力は知らないし、本人はパニックでそれどころではない。自分で何とかするしかない。
形は違くても僕が望んだ世界なのかもしれないから!僕の尻は僕で拭くものだ。
すると城の方から大きい声が聞こえてきた。アロナおばさんのメガホン。
どうやら前線に門番をしている戦闘系の天使が来てくれるらしい。良かった。
「ドゥラブ!ドゥラブ!ドゥラブ!!」
「フリート!化物がバリアを破きそうだよ!どうするの!!死にたくない死にたくない!!」
まずい、化物の力が強くなってバリアが破けそうで集中してるのにマリッソの声で気が散る!
どうするのって僕が聞きたい。
まずい、死にたくないという気持ちが強くなってきた。ついさっきまで死の本質すら知らなかったのに。
嫌だ。もう破けちゃう!
破けそうなバリアという現実から目を瞑った瞬間門番の天使が悪魔の首をへし折り殺した。
「大丈夫か!フリート!よく守ってた!マリッソと一緒に城に向かえ!」
「スラバートおじさん…」
まずい。涙が出てきそう。スラバートさんこんなに頼もしかったのか。
本来なら僕も援護するというべきなのは知っていたが、恐怖が先行し、そんな言葉は無論出なかった。一刻も早くこの地獄から抜け出したい。
僕は泣きじゃくっているマリッソの手を引きながら城に向かった。
その道は思った数倍しんどかった。
見慣れた街と天使は姿を激しく変えていた。
血、叫び声、化物の声。
僕の心はもう乾き切っていた。
トライ、ラーミック、アスナ。
どうか全員無事でいてくれ。
この世界の核は酷く辛辣でまるでヘドロのような世界だ。そう気づいた。
ーーー
同刻、トライ
「シャボーネさん。俺たちどこに向かっているんだ」
ひどい顔で走るシャボーネさんとの空気が重すぎて、その重圧に負け俺はシャボーネさんに話しかけた。
「トライ。静かにしろ。敵はどこにいるのか分からないんだぞ」
シャボーネの顔はさらにひどくなり、数多の言葉で叱咤されるよりも強い一言で俺は潰された。シャボーネさんの言う通りに従うほかなさそうだ。
みんなが待っている部屋に行く前に突然シャボーネは止まった。
「どうしたの?シャボーネさん」
…返答がない。何かを感じとっているのか?目を瞑っている。
「…7か」
そう一言ぼさっと発するとシャボーネさんはシャボン玉を7つ出し凄まじい勢いで窓から外に放った。何をしたいるのだろう?気になる…
すると窓からシャボン玉が戻ってきた。中に悪魔が入っている。城の壁にでもへばりついてたのだろうか。
「もうこんなとこまで、だが甘いな」
そう一言シャボーネが言うと突然シャボン玉の中で暴れていた悪魔は静かになった。死んだらしい。
「急ぐぞ。トライ。俺だけを見て着いてこい」
俺はこの時よく分かった。イマリといい、シャボーネも戦闘のプロだ。さっきまでの心に蔓延っていた霧のような不安は、シャボーネが吹き飛ばしてくれた。
城は半壊していたため、足元に気をつけながら時間をかけて安全に進んで行った。人数の関係上、2人きりのラーミックとトレイピューの安否が心配なため優先することにし、部屋に向かっていく。
ーーー
シャボーネとトライが部屋に向かい出した頃
ラーミック、トレイピュー
「…んん。うるせー。……っは」
まずい、イマリとかいう王と話してたはずなのに寝てる、?
まさか失神させられてたのか。死ぬほど腹立つ。
俺は同級生から隔離させてきたイマリとかいうやつを許さない。もっと強くなってあいつをボコボコにしてやる。
ん?何でこいつは俺の隣で寝てんだ?
あ!そうだ!俺こいつと戦おうとしてたんだ!
ていうかコボと他の奴らはどこにいるんだ?
こいつに聞いてみるか
「おい。起きろアホ。つらら落とすぞ」
全然起きねーな。ビンタしてみるか。
途端、破裂音がした。
壁が壊れ、破片が飛び散る。
トレイピューはラーミックを抱えてかわした。
な、何だ?城が壊れたぞ。危なかった。こいつのそばにいなかったら今頃こいつぺっちゃんこだったぜ。後で恩を押し付けるか。
トレイピューの目の前にはフリートの前に現れた下級悪魔ではなく、中級悪魔が城のレンガ片を持ち、トレイピューとラーミックを見ていた。
「あ、、ああ、、めぽむめぽむまやさら」
何だこの化物。何か話してる?
トレイピューが困惑している中、悪魔がすごい勢いでレンガ片を投げつける。




