19.盛り盛りの能力
しばらくアロナおばさんの家の前でハンセータイムを4人で過ごした後、家の中に案内された。自分で追い出したくせに家に入れって。やはりめんどくさいおばさんなのは間違いなさそうだ。
家の中には俺ら4人以外の同級生11人がいつの間にか集合しており、同級生15人でアロナおばさんの話を聞く。
「今まであなたたちに秘密にしていたこと。それはこの国の外のことよ。この世界の外には莫大な量の悪魔がいるの」
やはりそのことか。というのも俺とフリートはこのことを知っていた。大昔、一度行ってはいけないと口酸っぱく言われていた国を囲む柵によじ登り、柵の外を見たことがあった。そこで僕たちは悪魔を見た。
目の焦点があっていなく、口から大量のよだれを垂れ流していた。全く知能というものを感じられない生物。そしてこの柵はこの魑魅魍魎から俺たちを守るものとも知った。
「能力が発現した貴方達ももうすっかりこの国を守る立場。我が礎、アラノークを守っていきましょう」
ええ。それだけ?なぜ今まで隠す必要があった?まあ聞いてみるか…
「まだなんか隠しているんだろ老害。吐けよさっさと」
俺が聞こうとした瞬間割って入ってきやがった。こいつはファーユー。この国が誇る1番のクソガキ。何を隠そう俺とこいつはすこぶる仲が悪い。今からでも一発殴ってやろうか。
「なによ。ファーユー。あなたお口がなっていないようね」
俺が殴ってやろうと覚悟を決めた瞬間、アスナがファーユーに強い口調で言う。
あーあ。アスナが入ってこなかったら一発殴ってやったのに…まあ今日のとこは許してやるか
「ああ?アスナ貴様、女型のくせに調子乗りやがって。やるか?」
ファーユーも負けじと強い口調で返す。ちなみに言うとここの二人のケンカはまじでやばい。お互いこうなると一歩も引かない。泥試合決定。
「あんたたちやめなさーーーーい!!!!」
全員耳を塞ぐ。久々に食らった。アロナおばさんの怒号。アロナおばさんの能力はスピーカー。声をすごい大きさにできる。
「ファーユー。私の口からはこれ以上のことは言えないわ。だが伝言を承っているの」
「伝言?」
アロナおばさんのその一言でファーユーは静かになった。俺もびっくりした。誰からの伝言だ?
「イマリ王からのものよ」
「はあああ?先に言えよこの老害!」
これは驚いた。イマリだと?イマリ王は俺の名付け親だったが会ったことは指で数えれる程度しかない。というかファーユーはアロナおばさんのことをスタンダードで老害と呼ぶのか。
なんかこういうところがすごいファーユーだな。
「イマリ王からの伝言は、戦闘系が発現した天使のみ明日、城に旗が上がる時間に私の元へ来い。だそうよ
なので15人中6名該当者がいるはずよ」
戦闘系だけ?これはどういうことだろう。というかそもそも俺の能力はどちらなのだろう。光の粒を出す。これは何を補助するんだ?ってことは戦闘系?でも粒でどうやって戦えっていうんだろう。聞いてみるか。
「アロナおばさん。俺はどっちに含まれるんだ?」
「トライ。あなたの能力はそうねえ。全くわからないわ!あはは」
え。ひどい。バカにされた。なんなんだよ俺だって悩んでるのに。よーしこうなったら俺もファーユーに習って老害って呼んでやる!
「どっちか分からない?どういうことだよトライ。お前どんな能力なんだ?」
最悪だ。一番聞いて欲しくないファーユーに聞かれた。ここで本当のこと言ったら死ぬほどバカにされる。間違いない。ここはいい感じに嘘をつくか、話をすり替えるしかない。
「トライの能力は"光の粒を出す"能力よ。間違いなくこれって戦闘系じゃないんだけど、何を補助するかって聞かれたら困るのよ。だからどっちか分からないのよ。トライはそれがこんぷれっくす?ってやつだから聞かないで!」
アスナーーーー!!!
なんで言ってしまうんだーーーー!!
お前の頭の悪さはお墨付きだなぁーー!!
まずいなんとか誤魔化さないと。
「あ、アスナ。お前なんか誤解してるぞ。俺の能力は光の粒を出すことではない」
まずい何も思い浮かんでないのに喋り出してしまった。どうしよう。急げ。急いで考えろ!!
「あら。そうなの。じゃあどんな能力なの?」
アスナお前の天然バカのせいで俺は今死ぬほど追い込まれているんだよ!アラソウナノーじゃないんだよ!たとえボコボコにされたとしてもあとで絶対殴ってやる。
「お、俺の能力はーー」
落ち着け。盛りすぎるな。ちょーどいいレベルを攻めるんだ。
「光の粒をーーー」
まずい!光の粒と言ってしまった!それではさっきと何ら変わらないじゃないか!もうちょっと盛らなければ!!
「集めてハイパービームを打ったり、光の粒で物運んだらする能力さ!」
その瞬間、ファーユーは目を輝かせた。
「すげええな!トライ!戦闘系でもあり補助系でもあるのか!流石にすごすぎるぜ!仲直りしようぜ?な!」
俺はこの嘘により、仲が悪すぎるやつと仲直りできた。その代償としてこの嘘を永遠にバレないように立ち回るという辛すぎる十字架を背負うことになった。




