16.終焉
クザロは剣術の達人であった。そしてそれはクザロの能力とも相性が良かった。その能力は、形を維持している物にエネルギーを流した時に好きなものにそれを変換させることが可能というもの。
彼はこの能力で悪魔界最強の剣使いとして名を轟かせていた。しかし、欠点があった。それは能力発動前に、技を言わなければならなかった。
それをイマリは見逃さなかった。彼女は色で最弱であった。だが、それはあくまで戦闘時の話であった。彼女はメルのように、そこを様々な工夫で補っていたのだ。とても切れる頭もその一興であった。
(さっきのギリギリの反応速度。もう一発打てば当たるかもな)
クザロはそう思った。
等活:足疾...
技を言う前にムチがすごいスピードのムチが足に絡まり、こけてしまう。クザロはこういう時は鍛え上げられた身体能力でかわして攻撃を出す。しかし、いくら最弱の色と言ってもピリオドの5倍のバフとジャルンピークのエネルギー譲渡の加護を受けているイマリは十分クザロの身体能力を上回っていた。
くそっ!等活:真っ向切り!
クザロは慌てて技を出すが、ムチがしなるせいで上手く切れなかった。
このムチは切れないわ。私のエネルギーが染み込んでいるもの。莫大なエネルギーは直ちにしなりへと変換される。諦めなさい。
イマリが言う。
それに対してダルそうな反応を見せたのち、クザロが口を開く。
あまり等活以上の技を使いたくないが仕方あるまい。
クザロがまた構える。なんとか技を出させたくないイマリがもう片方のムチでクザロの手を叩くが、全くダメージがない。仕方なく、もう片方のムチもクザロの足に絡め、足を動かなくする。
あまり殺生は好きではないのだが、、許せ
クザロが申し訳なさそうにいう。
とてつもない大技を出す予感にイマリは少し身構える。それに気づいた周りの兵が一斉にクザロを攻撃しに行く。
イマリ様を守れ!!
兵はイマリの前に立つ。
みんな逃げて!!!
イマリが叫ぶ。イマリは気づいていた。今から出される大技が相当なものということに。
叫喚:炙炎斬
途端周りは火の海になる。が、イマリは急いで足を絡めているムチを外し、火の来る方面へとてつもなく鋭い打撃をすることにより、火の勢いを殺し、ピリオド様も無事であった。皮肉なことにイマリの前で守ってくれた兵は全滅。しかし、彼らがいなかったらこの火の勢いを殺せなかった。
大技を使ったため、クザロはとてつもない疲労に襲われた。もうほとんど戦うことはできなくなっていた。
野郎。これで生きているなんて。
クザロは驚いた顔で言う。
クザロ、泥帝はお互いほとんど戦闘不能になっていた。明らかに天使が押していた。
しかし、刹那に形勢は逆転する。
ジャルンピークもイマリもあとはトドメを刺すだけと覚悟を決めていた。その時、急に恐ろしいほど力が抜ける。
なぜだ
二人は顔を見合わせた後、ピリオド様の方を見る。
死んでいたのだ。
頭が変な形になっており、右目がない。
そしてピリオド様の前に知らない悪魔が立っている。イマリはずっと王の護衛をしていた。誰かが来た気配など全くしていなかった。
イマリは瞬きをし、ジャルンピークの方を見る。その瞬間をイマリは忘れることはないであろう。
ジャルンピークの目から悪魔の手が出てくる。そしてジャルンピークの顔をめちゃくちゃにし、もがきながら悪魔が出てくる。
(なにこの能力。次は私?)
途端、疲弊しきったクザロの小さい声が聞こえてくる。
元闇様いらっしゃったのですね。
どうやらこいつは元闇というらしい。
きっと悪魔のボスであろう。相手の体の中から出てくる能力?何にせよイマリはここで死ぬ運命だと悟った。そしてそっと目を閉じようとした。
絶対に諦めるなイマリ!!!!!
後ろからラクーの声が聞こえてくる。それとともに光った蛙が現れ爆発し、周りをエネルギーのうざったい光が照らすのと共に光の馬がイマリを乗せ、さよならの渓谷の奥へ進む。
逃すか!!
クザロの大きな声と共にふらつきながら立つクザロが見える。
黒縄:袈裟斬り!!
先ほどまで完璧に見切れた凄まじい速さの剣はピリオド様の加護なしでは気配すら感じれなかった。剣がイマリを横切る。イマリはアドレナリンで気づかなかったが、右腕を切断された。そのまま馬は走り続け、Noahに乗る。
急げ!!出航だ!!!
ラクーの叫ぶ声が聞こえる。どうやら彼は船に乗っていなかったらしい。
ラクーも早く乗って!!!
切られた腕に気づいたイマリが出血を抑えながら、ラクーに叫ぶ。
するとラクーは満面の笑みで右手の親指を立てる。
その瞬間、ラクーの体から元闇が現れ、ラクーの体が弾け飛ぶ。
嫌だあああああああああああ!!!!!!!
イマリは心の奥から叫んだ。もう仲間が次々死んでいくこの事実にイマリは耐えられなかった。
船はウエクウカンとシタクウカンの間にある謎多き空間、滅間に落ちていく。




