14.さよならの渓谷にて
くくっ。そうか。悪魔の仲間なのか。
クザロが笑いながら言う。
ディアトロはもう精神が崩壊していた。彼はもう一つのことしか考えれなかった。そして彼の脳みそが唯一考えたこと。それはマルコのことであった。
"お前は死ぬな"
この言葉を守ること。それがマルコに見せれるたった一つの誠意だと考えたのだ。
よろしい。なら仲間の位置を教えてくれ。お前はもうこっち側なんだろう?
クザロが意地悪なトーンで言う。
知らない。詳しくいうと覚えていない。
ディアトロが答える。彼は本当に覚えていなかった。ショックで脳が機能していなかった。
クザロはディアトロが嘘をついているようには見えなかった。なので優しく答えた。
俺らはここを乗っ取りに来た。なぜかって?
シタクウカンにはもう懲り懲りだからさ。
血生臭く、争いは絶えず、憩いの地とは真逆の場所だ。しかしここはどうだ?お前らが聖臓でエネルギーを作り出しさえしてくれれば争いのない平和な世界が訪れるだろう?俺らだって殺したくてやっているわけではない。この戦争が終われば2度と殺し合いなんてしないさ。
ディアトロは、はっとした。
こいつらも戦いたいわけではなかった。話せば分かるのではないか。
というかこれだけの危険な相手がこれを機に殺し合いを辞めると言っている。ディアトロは心の底からそれを信じたかった。
その根拠は?
ディアトロがボソッという。
ここウエクウカンに来た悪魔は言葉が通じるとても頭の良い優秀な奴ばかりだ。争いなんて望んでいないのだよ。俺が言ったことを理解できる?
クザロは口が達者であった。
どうだい?思い出したかい?残りの天使の場所を
クザロはディアトロの顔の動きを見逃さなかった。ディアトロが仲間の天使の場所を思い出した。そう確信したのだ。
もう虐殺はしないと誓ってくれるか?
ディアトロが真っ直ぐな目でいう。
ああ。誓うよ。僕らは天使の王と話してくるだけさ。
クザロが自然な笑顔で言う。
"お前は死ぬなよ"
このマルコの言葉の"お前"には天使全員が含まれていることをディアトロは確信していた。もう2度と仲間の死なんて見たくない。そんな幻想がディアトロを優しく包み込んでいた。
ピリオド様達はさよならの渓谷にいる。そこを目指してくれて構わないが一つ言うことを聞いてくれ。俺と貴公の2人のみで向かうぞ。
ディアトロはまっすぐクザロを見て言う。
クザロは満面の笑みで言う。
もちろん構わないですよ。もう一滴も血は流れないので
ーーー
ここからさらに10日が経った。Noahは国民を乗せて準備万端。あとは転生者を乗せるだけであった。
ジャルンピークはこの日もいつも通りさよならの渓谷の警備をしていた。すると前からディアトロとクザロが歩いてくる。
何事だ!
ジャルンピークは驚きつつも、すぐ後ろにいたイマリに伝え、緊急事態に備え、Noahはいつでも出れる準備がなされた。
ここからは互いに腹の探り合いであった。
ディアトロ。こいつはどういうことだ?説明してくれ。
ジャルンピークが言う。
すみません。私は悪魔に魂を売りました。もうそちら側のものではないのです。
ディアトロが冷静に答える。
頭おかしくなったのか?ディア。エートス村で何があったか話せ。
ジャルンピークも冷静に事情を聞く。
話せません。お願いです。ピリオド様を呼んでください。それこそが一滴の血も流さない唯一の方法なんです。
ディアトロが悲しげに言う。
俺はお前がそんなやつだとは思わなかったぜ。
マルコ兄はどこだ。
ジャルンピークはディアトロに何らかの事情が絡んでいることはとっくに気づいていた。
ディアトロは涙を流しながら言う。
うるせえ!俺はずっとこういうやつだ!
いいからピリオド様を呼べ!!
ジャルンピークが構えながらいう。
もちろん答えはNOだ。ディアトロお前は騙されている。周りをよく見ろ。
え?
ディアトロは言われた通り周りをみた。
そして周りの木や岩陰に悪魔が隠れていることに気づいた。
こんなクソ野郎に踊らされてんじゃねえ!
急いで兄貴呼んでこい!
ジャルンピークが叫ぶ。
残念です。ディアトロくん。
もう少しで仲間の血が流れなかったのに。
クザロが言う。
その掛け声を合図に悪魔が一斉にジャルンピークに飛びかかる。
大量の上級悪魔を一体一体エネルギーを送り破裂させていく。
戦いが始まってしまったことにディアトロはショックを受け、倒れ悶絶し、吐く。
全ての上級悪魔を倒したジャルンピークは
息を切らした。そしてディアトロに尋ねる。
兄貴はどこだ。何していやがるあのバカ兄貴は
ディアトロはミイラのような顔で答える。
死んだよ。とても苦しそうだった。
ジャルンピークはディアトロの方を向いていたがその前にとてつもない強さを感じる悪魔が現れる。10日間で全回復した泥帝であった。
スマナイ。オレモコロスノニカタンシタ。
コロシタケドタベレナカッタカラキミハタベテアゲルネ。




