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57 気分転換


「良かった、無事に帰ってこれたんだね」

「助かったよ。すまない、一緒に戦いに行けなくて」

「大丈夫!」


 シーマとミコ、フィリアさんは無事家に帰っていた。彼女は申し訳なさそうな顔で、俯き黙り込んでしまっている。


「ご、ごめんなさい……。もう、構わないでください。みなさんに迷惑をかけるくらいなら、このまま一生、ヤツらから逃げ回る道を選びます」

「お母さん!」

「ティナ……!」


 フィリアさんの前にティナちゃんが現れ、ムスッとした顔で目の前まで歩いていく。


「助けてもらったんだから、ありがとうございますでしょ!」

「えっ?」

「えっ??」


 ティナちゃんのその発言に、フィリアさんと一緒に私たちも驚きの声を上げる。ティナちゃんが、そんなこと言うなんて……。


「私がお母さんに会いたいって言ったの。もう逃げないで? お話しよう? ずっと寂しかったの。捨てられたのかなって思って、ずっと……」

「ティナ……ごめんね、ごめん……」


 うるうると瞳に涙を浮かべていたティナちゃんが、ゆっくりとフィリアさんに抱きつく。しばらく経って、フィリアさんが顔を上げて、こちらを向いた。


「ありがとう……ございます。ティナを保護してくださって、そして、私を助けてくださって」

「いえいえ……私たちのおせっかいというか、なんというか……」

「とりあえず、ティナと話をしてやってくれ。捨てられたわけじゃないと分かったのはいいが、直接フィリアさんの口から聞きたいだろ」

「シーマ……じゃ、あたしたちは少し離れましょうか。セリカ、シーマ、一緒に行きたいところがあるんだけど、いい?」

「ミコ、分かったわ。それじゃあ、ティナちゃん、二人きりでも大丈夫?」

「うんっ、ありがとう、セリカおねえちゃん!」


 ニコッとする彼女に笑顔を返して、二人を置いて外に出る。


 ミコが行きたいところがあるから付いてきて! って言ってたんだけど、結局何も考えていなかったみたいで、最初はうろうろ街を歩いていたんだけど、次第にミコがつかれたって言って足をとめちゃった。


 だから、シーマが仕方ないと言って、少し歩いたところにあるパン屋さんに案内してくれた。


「ほら、出来立てパンでもお土産に買って行こうぜ」

「すんすん……パン、いい匂い!」


 美味しそうなパンの匂いに飛びつくように、パン屋へ走っていくミコ。それをやれやれとついていくシーマ。


 フィリアさんとティナちゃん、仲直りできるといいけど……。


 だが、そんなことを考えていると、脳裏にフィリアさんとティナちゃんが仲直りした先、二人で私達の元から離れていく様子が浮かんだ。


 そんなこと、嫌だ……まだティナちゃんと、一緒に暮らしたい。でも、フィリアさんを家に入れるのも……。


 さすがに家がパンパンだ。テーブルも部屋も、4人で丁度いいサイズのあの家には、5人目を迎え入れる余裕などない。


 何とかならないものか……。



 コツンっ


「あたっ……シーマ?」


 ぼーっと道のど真ん中で立ち尽くしていた私のおでこに、コツンと衝撃が走り、我に返って目の前を見ると、パン屋に行ったミコを追いかけていたはずのシーマが戻ってきて、心配してくれていたようだった。


「大丈夫か? へへっ、きっと、ティナがフィリアさんと一緒にどこかへ行っちゃうんじゃないか……なんて考えていたんだろ?」

「その通りよ……せっかく仲良くなって、家族になったと思ったのに、本当のお母さんが実はいい人で、仲直りして、なんて考えたら、怖くて怖くて……」

「はぁ、俺も、ティナともっと仲良くなりたい。彼女には幸せになってほしいんだ……カザネの分まで……」

「カザネ?」


 聞き覚えのない名前に、私はシーマの方を見て首をかしげる。と、シーマは目を逸らしてごまかす。


「いや、昔の友人さ。ティナに似ている子が居たんだ。今は、どこで何しているんだか……」

「そっか。シーマも、ティナちゃんが家を離れていくの、嫌なんだね」


 直接嫌だって言えないのか、照れ笑いして誤魔化すシーマ。彼は本当にティナちゃんの事が好きなんだな……。


 普段のティナちゃんと、シーマのやり取りを見れば分かるけど、本当の兄妹みたいだもん。


「とりあえず、パンを買おうぜ。美味しいもん食っとけば、悩みなんか全部吹き飛ぶだろ?」

「これ、吹き飛ばしちゃいけない悩みなんですけど……?」

「ねー! 二人とも、まだこないの? 早くしないと出来立てが出来立てじゃなくなっちゃうよー!」

「ごめーん、ミコ! すぐにいくよっ」


 シーマと一緒にパン屋に入ると、ふわっと外の匂いの何倍にも香ばしく、甘い匂いが鼻をかすめた。とっても美味しそうなパンが並んでいるカウンターに見とれていると、ミコがおぼんとサーバー(トング?)をもってこちらにどうぞと持ってきてくれた。


 その後、ミコはサンドイッチとお芋パン。シーマはソーセージパンと、焼きそばパン。私はチョコレートパン……。


 チョコレートって、人間以外は毒みたいなこと、聞いたことあるけど、大丈夫かな……?


「うげ、セリカ、チョコ食べれるの?」

「えっ? やっぱりダメかな?」


 苦いモノを食べた時のような顔をして、チョコレートパンを見るミコ。


 フィリアさんとティナちゃんの分も美味しそうなパンを適当におぼんに乗せて、会計を済ませて、店を出た後に袋からチョコレートパンを取り出す。


「た、食べたら死んじゃうとか無いよね……はむっ」

「セリカ、本当に食べちゃった……!」

「そんなにマズイのか……?」


 これから何が起こるんだと身構える二人を前に、もぐもぐとチョコレートパンを口に入れる私は、特に何も起こらず、ただただ焼きたての美味しいチョコレートパンを食べているだけに終わった。


「ん-! おいしい」

「そんなら、良かったぜ……」

「セリカは、チョコレートパン好きなんだ……あたしは無理すぎて無理」

「なんじゃそりゃ! ……まあ食べれることは分かったし、残りはみんなと一緒に食べよう」


 そろそろ良い時間だろうと思い、私達は紙袋を抱えて家に帰る。


 ◇◇◇


 扉を開けると、フィリアさんとティナちゃんは椅子に腰掛け、楽しそうに喋っている様子だった。


「おかえり、おねえちゃん、おにいちゃん!」

正直、シリアス系や、バトル系は描くのしんどくなりますね。

この世界の設定やキャラクターを引き継いで、別の話を書きなおしたいなと思います。バトルやシリアス要素を抜いて、日常シーンを多くしたいなと思っています。


ある程度書き溜めたら、連載を始めたいと思います。もしよかったら、改訂版? も、よろしくお願いします。

こっちも、続きかけやということであれば書きます。

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