52 おうちに帰ろう!
私たちはカフェに着いた後、罠の正体が闇の冒険者デアの仕業であったことや、その内容を出来るだけ詳しく説明した。
ティナちゃんはマスターに頼んで先におうちに帰ったようだ。
「ぶ、ぷっ、お前ら、本気で言ってるのか?」
クスクスと笑うみんな。いや、ホントなんだって!
あまりにもふざけた話なので、みんなは信じてくれなかった。
「そんな伝説、聞いたことないわね……獣人はセリカちゃんが街に来るまではずっと人間に服従していたはずよ」
とレイラさん。
「しかも、暗殺に使われていた剣がこんなに綺麗な状態で残ってるもんなのか? なんかおもちゃみたいだな……」
と、漆を塗られたかのような艶を放つ黒剣を見るアシメさん。……もう!
「もー! ホントなんだってばあ!」
「むー」
唸る私とミコを見て、さらに笑い出す。
「まあ、何はともあれ無事帰ってこれて良かったじゃない? ねっ、セリカちゃん、ミコちゃん?」
おお! キッカさんがここにきて味方になってくれるとは!
「うん! 今回のダンジョンは大成功ね!」
「ほら、出来たぞ……特製オードブル盛り合わせだ!」
マスターの渾身の料理をみんなで分け合いながら、ワイワイと過ごした。
◇◇◇
帰還後、カフェにてご飯を食べながら盛り上がっていた私たちも、そろそろ良い時間かなと思い始める頃。
「んじゃ、そろそろ帰らせてもらうよ」
アシメさんは「んしょっと」と立ち上がると、続けてレイラさんが。
「今日はありがとね、セリカちゃん、ミコちゃん」
「あっはい、ありがとうございました! キッカさん!」
キッカさんも二階の自分の部屋に戻っていった。
「じゃあな、3人とも」
続けてギザルさんも。
「それじゃ、あたしたちも帰ろっか! ティナちゃんが待ってるし」
「そうね、今日はありがとう、マスターさん!」
「おう! また来なよ、セリカちゃん! ミコちゃん!」
「俺はカフェに多大な貢献をしていると思っていたが、歓迎されてないのか?」
「ははっ、お前がそんなことを言うとはな! じゃあ、ありがとな。……気を付けて帰れよ、シーマ」
「へへっ、別に欲しがってねーよ! ……じゃあな、マスター」
男同士で手を組み、ニヤニヤと喋るふたり。
「それじゃあ、また来まーす!」
手を振るマスターを最後に見て、扉を閉める。
◇◇◇
「ただいまー」
家の扉を開けると、机や壁にカラフルな装飾がされており、なにやらテーブルの上にはケーキらしきものが置いてあった。
「おかえりなさい! セリカおねえちゃん! ミコおねえちゃん! シーマおにいちゃん!」
それぞれの名前を呼び、ニコニコするのは、ほっぺや手が真っ黒になっているティナちゃんだった。
「ティナちゃん、それどうしたの?」
「えっとね、みんなと一緒にお祝いしたくて……」
「お祝い……?」
「今日、実は、ママの誕生日なの」
知らなかった。というか、私は今が何月何日か知らない。
「ママがもし生きてるなら、もう30歳になるよ!」
「そうなの? まだ若いんだね~ あたしのママはもう40になるわよ」
ママか……。
「ティナちゃん、ママに会いたい?」
「えっ……ううん。大丈夫!」
そう言って、ニコっと笑顔にもどるティナちゃん。ママの名前を私に言えば、一発でどこに居て、誰と居て、何してるかが分かってしまう。
……もちろん、生きてるか、死んでるかも。
「ティナちゃん……じゃあ、お父さんは?」
「お父さん……!」
ティナちゃんのお父さんは、たしか失踪したんだっけ。じゃあ、お父さんを探してあげるくらいなら、ティナちゃんも喜んで応じてくれるはず。
「私、お父さんに会ってみたい!」
良かった。やっぱり、子どもだもん。両親に会いたいに決まってる。……まだ、お母さんの名前を教える気にはならなそうだけど。
次の依頼は、お父さん探しだ!
次の話までの繋になるます!これからもよろしくお願いします!




