51 新のダンジョン?
「だめだ……」
「……」
クリエイターモードのマップ機能を使うが、自分たちが居る階層のマップしか表示されない。
私たちはマップに表示される限りでは一本しかない道を進んでいく。
「あれ? なんか道が広く……っていうか、部屋がある!」
「本当!? やっと帰れるのね!」
細い道を抜けるとそこは、ダンジョンのボス部屋そっくりの部屋だった。
「げ、これまたボス出てきたりしないよね……」
「や、やめてよセリカ、そんなこと言うと、本当に出てくるから」
ミコが私に抱きつくと、急に目の前に黒い炎のようなものが現れ、声が聞こえる。
「ほっほっほ、よくぞここまでたどり着いた」
「だっ、誰?」
ぶるぶると震えるミコ。
黒い炎がブワっと広がり、消えるとそこには黒い甲冑を着た戦士風のがいこつ。
「我が名はデア。このダンジョンに数百年ほど封印されている古代の勇者じゃ!」
デアって、この人が……?
「ね、ねえデアさん! 私たち、道に迷っちゃって、出口を探しているの!」
「セリカ!? がいこつに道聞いてどうするのよ!」
「ほっほっほ、出口か? それならあそこじゃよ」
あっさりとEXITと書かれた扉を指さし、ほほほと笑うがいこつ。
「がいこつさん! ありがとう! ほら、ミコいくよ」
「えちょ、ホントに大丈夫なのお!?」
「ほっほっほ……安心せい……」
私たちは扉を開き、階段を上っていく。後ろを振り向くと、がいこつさんは目を赤く光らせて、なにやらニヤけ顔をしているように見えた。
「……しには、せんよ」
◇◇◇
「なにこれえ!」
階段を降り、もう一つの扉を開けると、毒沼の上にマシュマロのような物が浮いているゲームのような部屋につながっていた。そして、正面向こうには、上へとつながるはしごが。
……ゲームのようなっていうか、これゲームじゃん!
「もしかして、これ渡るとか言うんじゃないでしょうね!」
「ほっほっほ、そのまさかじゃよ」
「がいこつさん!」
がいこつさんは隣にある安全そうな通路から、こちらを見て笑っている。
「無事に渡りきり、はしごを登ればクリアじゃよ」
「えー! こんなの無理だよ! セリカ、あたし動けない!」
「でも、行くしかない!」
ぴょんぴょんと軽い身体を浮かせ、マシュマロを蹴ってはしごまで飛んだ私は、ミコの方を見る。
なんだ、案外いけるじゃん! 猫族にしておいて良かったかも。これなら、ミコも飛べるはず!
「ミコー! いける、大丈夫よー!」
「セリカがそういうなら……えいっ!」
「ミコおっ!?」
ミコは、勢いを付けすぎたせいで、ジャンプするタイミングで足を滑らせる。
上半身から毒沼に落ちそうになる。……ここから飛んでも間に合わない! どうしよう!
「よっと」
「え……?」
なんと、安全な通路にいたがいこつが瞬間移動して、ミコの腰ベルトをつかみ、持ち上げた。
「ひっ……あれ、死んでない……?」
「ほっほっほ、チャンスは一回だけじゃぞ」
一回だけなら死にそうになっても再挑戦させてくれるんだ!
……って、ゲームかい!
声に出してツッコミそうになった私は口を押えて、ミコの二回目のジャンプを見守る。
「セリカ、次失敗しても、助けないでね」
「ミコ……」
やだよ、ミコが死んだら、私……。
だが、今度はジャンプに成功し、はしごまで飛びきるミコ。
「ほっほっほ、ステージクリアじゃ!」
だからゲーム……ごほん。
「よし、ミコ、早く出よう?」
「うんっ、セリカ!」
私とミコははしごを上る。上りきって部屋を見る……。はぁ。
「ほっほ、第二ステージ、一本橋の始まりじゃー!」
「セリカ、今度こそあたし、無理いいい!」
私も、これは行けるか不安だ……鉄骨に電気流れてたりしないよね?
「ミコ、手を繋いで、一緒に行こう?」
「う、うん……」
私たちは、ゆっくり、確実に一歩ずつ、鉄骨を渡ってゆく。
鉄骨は、ちょっと幅広で、平になっている……このがいこつさん、実は親切なのかな?
無事渡り切った私たちに拍手を送る。
「ほっ、よくやったぞ、おぬしたち。さあ、上るがよい!」
がいこつさんがそう言うと、今度は目の前の壁が崩れ、上に続く階段が。
「ねえがいこつさん、これって……」
「最終ステージへと続く階段じゃよ!」
「まだあるのお?」
「いや、ミコ、もう最後よ、私たちなら、必ずクリアできるわ!」
ミコを立ち上がらせて、階段を上ってゆく。
最終ステージ、それは。
「ほ、最終ステージ、クリアの条件は……」
ごくり。
「ワシを、倒すことだ」
「え?」
「はい?」
拍子抜けする私たち。次は一体どんなアトラクションが待っているんだろう、そんなちょっとした期待を裏切られたような感覚。
「あなた、勇者なんでしょ……」
レベルは25だ……25? 魔物でもないし、ボスでもない……人!?
「あなた、本当は……」
成仏できなくて、ずっと寂しかったのかな?
「……キョエエエッ!」
いきなり襲い掛かってくるがいこつさん。でも、動きがとても遅い。
「ちょっと、いきなり襲ってこないで……よっ!!」
「おほっ!!!」
がいこつさんの頭を勝ち割るミコ。がいこつさんはその場に倒れこみ、頭を押さえて悶絶している。
「あーいたいたいたっ! ……おい、おぬしら、はよとどめをささんか」
「じゃあ、遠慮なく」
剣を突き立て、とどめをさそうとするミコ。
「ちょっと待ってミコ、がいこつさん、お話聞いてもいい?」
「ほへ?」
……。
がいこつさん、闇の冒険者デア・フリンクは、人間と獣人との戦争が絶えなかった時代のこの島にて、ただ一人、獣人は悪いことをしていないと、人の身で人間と対抗する者だった。
そして、獣人の勢いが失われ、彼もついに捕まり、檻に入れられた。だが、すぐに脱走し、街に住む、罪のない獣人を痛めつけた者たちを暗殺していく……。
後に、その姿は冷酷な悪魔だったと語られた。……その時、暗殺に使われていた剣が、今回のダンジョンの報酬、魔剣デア・テイルフリンクだ。
「おぬしらと、最後に会えてうれしかったぞい……」
がいこつさんが光り出し、かつての暗殺者、デア・フリンクへと姿を取り戻す。
「俺と、遊んでくれてありがとう。きっと、君たちには輝かしい未来が待っている……」
そう言って、光となって散ってしまった。
「これで、ダンジョンクリア……」
私の手元には、赤黒の怪しい光を放つ直剣だけが残っていた。
急に後ろから、扉が開く音がする。
「えっ!? お前ら、どうやってここまで来たんだよ!? 落ちたんじゃなかったのか!?」
驚いた声を上げるのは、シーマだった。
「シーマ! どうしてここに!?」
ミコも驚いている……シーマたちは、私が持っている剣を見て、目を見開いていた。
「クリア、したんだな……」
私たちは、ここに至った経緯を話す前に一旦ここを出ることにした。
ダンジョンに数百年も閉じ込められた、獣人を助けるために人を殺した暗殺者、デア・フリンク……。
なんだか、よくあるダンジョン物のゲームみたいな話だったなぁ……。
これからもよろしくお願いします!




