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48 帰るよ~ 魔剣使いってマジですか?


 

 朝。


 ミコと二人でお母さんの手作りサンドイッチを食べて、少し機嫌を取り戻すミコ。私は安心して、サンドイッチの角を食べる。


「おいしいー!」

「ふすっ、お母さんの手料理は世界一だぞ!」


 お父さんの口からサンドイッチの食べかすが飛ぶ。美味しすぎて、たくさんほおばったからだ。


 お父さんの満面の笑み。この人は、毎日幸せそうだなあ……。


「ふふっ、大げさよ」


 ニコッとするお母さん。


 両親は察しが良く、朝起きたらミコが家にいる現象については、あえて聞かなかった。でも、気になってると思うし、スッキリしないだろうからと私は二人に昨日会った出来事を話す。


「ニケが? ニケが来ていたのか?」

「ニケくん、ミコちゃんのこと好きだったからねえ……」


 ニケは、私とミコが旅立ったあと、ちょくちょく村から姿を消したり、跡継ぎの仕事をサボったり、村の集会に参加しなかったりとなかなかに勝手を働いていた。


 これをミコのせいというなら、人のせいにするなと言いたい。


 ミコのこと、自分のことしか考えないで殺そうとしたんだ。


 手元のサンドイッチを食べ終わり、暖かいお茶を飲んだところで、両親の方を見る。


「お母さん、お父さん、久しぶりに会えて良かった」

「セリカ……?」


「私たち、ちょっと早いけど街に戻るね……」

「そうか……分かった」


 こんな村にはもう居られない。両親や村の人たちに会えたのは嬉しかったけど、ニケがまたいつ襲ってくるか分からない。


 昨日干した磯臭さが若干残る服に着替えて、ミコとカボスさんたちを連れて村の出入り口の目の前

に立つ。


「また近いうちに遊びに来てね?」

「いつでも待ってるからな、セリカ、ミコちゃん。それと、カボス」


「うん、ありがとう、元気でね」


 村人が車に乗る私たちを見送る。


 後部座席のカボスさん達は後ろを向いて手を振っていた。


「さ、帰りますよ~」

「はーいっ」

 

 ◇◇◇


「カボスさん、これ、私たちの住所ですっ」 

「ユズちゃん、いつでも遊びに来てね? ユズちゃんと歳が近い子もいるから!」

「本当!? やったぁ!」


 ぴょんと飛び上がり、両手を広げるユズちゃん。多分、学校にも行けてないだろうし、友達もいないんだろう。この際、ティナちゃんとお友達になれないかな。


 エムニスに頼めば、学校をタダで行けるようにできないかな? 義務教育とか言って。


 この世界なら、意外と私の意見も通りやすいし、好き勝手街を改造しちゃおうかな? なんて。




 カボスさん達と別れ、ミコと二人きり、街の大通りで立ち尽くす。


「とりあえず、行きたいところはいっぱいあるんだけど、どれから行く?」


 パっと思いついたのは、マスターさんの顔、それから、シーマ、ティナちゃん、ギザルさん……あと誰かいたっけ。


「そうね……あたしは……」




 街に帰ってきたら、とりあえずカフェでしょ。というノリでマスターさんの居るカフェに来ました~。


 扉を開けると、中から強烈なミント臭。ノンアルのモヒートでも作っているんだろうか。


「いらっしゃ、おっ、セリカちゃん!! それにミコちゃん!! 待ってたよ、どうぞこちらに」


 私たちを手厚く歓迎するマスターさん。席に案内され、一歩カフェ内に入ると、さらに強烈なミント臭。


「むっ」

「むむむ」


 私とミコは慣れないその匂いに鼻をつまむ。カウンター席よりも店の奥、4人座りのテーブルからだ。


 匂いのするテーブルの方に視線を向けると、見覚えのある姿が。


「あっ、セリカ、もう帰ったのか」

「シーマ! それにギザルさん、ティナちゃん! ……と、キッカさん……」

「お姉ちゃん、おかえりなさい!」


 笑顔で迎えてくれたティナちゃん。


 私たちは完全に存在を忘れていたキッカさんを見て、お互いを見つめ合う。


「ね、ねえセリカ、キッカさんとの約束、覚えてた?」

「完全に忘れていたわ……なにかのスキル?」


 そんなワケ……と自分でツッコミを入れる。キッカさんは立ち上がり、こちらに向かってくる。


「ひっ!?」


 怯える私たち。でも、キッカさんは優しく私たちを抱きしめた。


「おかえり、二人とも……話は聞いたわ。色々と大変だったのね……」

「……え?」


 私たちを抱きしめるキッカさんの後ろ、シーマとギザルさん、ティナちゃんは何故かニヤけ顔をしながら、サムズアップ。


 きっと、私たちのために、色々とフォローしてくれたんだろう。


 ……なんて説明して納得させたんだろう。私たち、特訓を頼んでおいて結局すっぽかしたちょっとヤバイ人だと思うんだけど。


「そ、それで、この匂いはなんですか……」


 キッカさんが席に戻り、ギザルさんの肩をパァンと叩く。


「っでぇ! なにしやがる!」

「ギザルにシップを貼ってたのよ」

「湿布?」


 この世界にもあるんだ~と感心しつつ、なぜ湿布? という疑問も浮かんだ。


 キッカさんに話を聞く。


 昨日、私たちがキウリ村でアレコレやっている時に、ギザルさん、キッカさん、シーマ、レイラさん、アシメさんの5人でダンジョン攻略に行っていた。


でも、ギリギリの所で倒せなくて、ケガをする前に帰ってきたという。


 その帰り、シーマが商店街の怪しいお薬屋さんに声を掛けられ、この強烈なミント臭を放つ湿布をもらった。


なんでも試作型らしく、効果が正しく発揮するか保証できないということで、人柱に捕まったのだ。


 シーマは、その湿布を自分に使うのを躊躇い、それならちょうど、ボス戦で攻撃を受け続けて肩の不調を訴えるギザルに使ってやろうといい感じの理由をつけ、ギザルさんを人柱にしたんだとか。


 シーマ、なんて悪いやつだ!


「ギザルさん、大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫……だと思うんだが」


「へへっ、自分に貼らなくて正解だったぜ。確かに筋肉の疲労を軽減させる効果はあるらしいが、接着面にババンネーロという激辛スパイスが練りこまれているんだ」


 あっちでのハバネロ? つまり、激痛が走ると。 


 ギザルさん、ホント、お疲れ様です。


 ギザルさんはシャツをめくり、湿布を貼った背中を見せてくれた。


「ひいっ!?」


 真っ赤に腫れた背中を見て、悲鳴を上げるミコ。いや、叫びたくもなるわー!


「はっ、こんなの、いつもの数倍マシだぜ……」


 なんだか声のトーンが下がって言った気がするけど、本当に大丈夫なんだろうか。


「シーマに普段どんなことを……」

「なに、大したことはしていないさ」


「ホントかなぁ……」


 ……。


「さ、二人とも、これから予定はあるのかしら?」


 急に話を変えるキッカさん。私たちはキッカさんの方をスッと向く。


「えと、大丈夫です……キッカさん、ごめんなさい……」

「もういいわよ、それより、早く剣術の特訓をしましょう? あなた達もボス戦に加われば、きっと倒せるわ」


「あたしたちも参加するの!?」

「大丈夫だ……多分」


 何が大丈夫なんだ。そこを説明してくださいよ、ギザルさん……。


「それだったら、私、剣じゃなくても良くないですか? 弓じゃダメなの……」

「そうなんだが、ダンジョンをクリアした時に手に入る魔剣デア・テイルフリンクを、セリカに持たせようと思ってな」


「魔剣? エクスカリバー的な?」

「エクス? なんだかよくわからんが、とにかくツヨ~い剣だ」


 シーマがそう言って、キッカさんに視線を向ける。キッカさんは立ち上がり、鞘から剣を引き抜く。


 それは、緑色に光り輝く、聖剣と呼ぶにふさわしい装飾が施された細剣だった。ブワっと風圧を感じ、剣は緑色の風を纏う。


「綺麗~」


 あまりの綺麗さに、小学生並みの感想しか出ない私たち。それを聞いて、キッカさんはニヤりとして、剣を構える。


「風の試練で手に入る聖剣、フルウィード・モラルタよ。まあ、私が勝ち取ったものじゃなくて、おじいさんがくれたものだけどね」


 そう言って鞘に剣をしまう。いつのまにかふわふわを浮いていた前髪がパサリとおでこに戻る。


「最初は近距離に詰められた時用の護身目的だったんだが、レイラ達の話によれば、今回攻略するのは、ネイバ地下空洞の最深部にあるダンジョン、闇の洞窟だ。あそこにある魔剣は、セリカのアサシンととても相性がいい」


 魔剣デアは武器固有スキル<アサシネーション>と<冷血>を持っている。アサシネーションは敵の視覚外からの攻撃をすると、威力が増幅されるというものだ。たしかに、スキル<アサシン>と併用すれば、ボスに大ダメージを与えることが可能だ……。だけど……。


「みんな、魔剣って言われるくらい強い剣なのに、欲しくないの? だって、みんなだって効果を発揮できなかったとしても……」


「武器そのもののポテンシャルが高いから、ただの強い剣としても使える……そう言いたいんだな?」


 シーマは壁に立てかけてあった白龍の剣を見せる。綺麗な真っ白の直剣。つばには、白龍の毛のようなものがふわふわしている。


「残念ながら、武器そのものの強さは、俺の白龍の剣や、レイラの真紅の薔薇の方が上だ。俺たちレベル25の者は、その者専用にチューニングされた特注の武器を持っている。バソムの有名な鍛冶師、ダールさんに、ボス級魔物の素材を持っていくと作ってくれるんだ」


「へぇ~っ、じゃあ、ミコはダメなの?」

「ミコは、潜在魔力が低いからな。魔剣なんて持ったら気絶しちまうぞ」


「へっ、そなの!?」

「試しに持ってみる? 聖剣」


 キッカさんは大事な聖剣をミコに渡す。剣を引き抜くと、さっきとは比べ物にならないくらい弱い風圧を感じ、ミコはフラっと倒れそうになる。


「はにゃ……」

「っとと」


 キッカさんが支えて、剣をミコの手から離す。その後、シーマが手を組んで話始める。


「まあ、こんなところだ。魔剣デアは俺たちの剣みたいな基礎攻撃力は無いが、固有スキル<アサシネーション>と<冷血>を持っている。セリカにぴったりだろ?」


 冷血。剣に怒りを吸われ、冷静さを欠くことなく、落ち着いて戦いをすることが出来る。私は割と感情的になってしまう節があるので、たしかにちょうどいいかもしれない。


 今まではそれでうまく行ってたけど、これからも自分勝手な行動がいい方向につながるとは思えない。シーマ達の提案を受けよう。


 シーマが立ち上がり、ニヤッとする。


 ダンジョンにいけば、この世界のことがなにか分かるかもしれない。



「じゃあ、決まりだな。これから熟練度が100くらいになるまで、特訓だ!」


やっと設定に組み込んであるダンジョンに行けそうです。

次回はダンジョンを攻略する物語です。できるだけ面白く描こうと思ってます。


これからもよろしくお願いします。




ダンジョン編は、私がただ書きたくて書くので、人によっては蛇足かもしれません。


その後、セリカさんは街でいい感じに活躍するので、楽しみにしていてください!!



すみません。本日風邪をひいてしまい、出したいところまで話を書ききれませんでした。

1日でサッとダンジョン編を終わらせる予定でしたが、ごめんなさい、明日の夜までには次の話をかけたらいいなと思います。

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