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47 その後


「ニケえっ!!」


 怒鳴り、ミコから距離を取らせる。ミコの目は焦点があっていない。気絶しているのだろうか。私は状況を瞬時に把握し、スキル<アサシン>を使用して透明になり、ニケのお腹を思い切り殴る。


「いきなり消えた......?……ぐほぉっ!?」


「ミコに何をしたのっ!?」

「……ブ、全部、お前のせいだああっ!!」


 お腹を押さえながら叫び散らすニケ。私が何をしたというのか。


急に襲い掛かってきたニケ。私はまた息を止め、攻撃を避けつつ窓際に移動して鍵を開ける。


「きゃあああーっ!! 泥棒よーーー!!」

「ぐっ!?」


 外に向かって大声で助けを呼ぶ私を、思い切りベッド側に投げ飛ばして、窓から飛び降りるニケ。


「……助かった。……よかったあ……」

「せ、りか……」

「ミコ、大丈夫!?」


 死にかけのミコを抱き上げ、少しずつ回復している様子を見て、落ち着くのを待つ。


「ふう……ふう……」

「そう、ゆっくり……」


「た、助かった……もうだめかと思ったよ……」

「ミコ、なにがあったの?」


 ミコから大体の経緯を聞いた。こいつは、私が思ったよりもとんでもないストーカーだ。


「てことは、私のせいじゃん……」

「そんなことないよ、セリカ。あたしがひどいことを言ったから、やつが怒ったのよ」


 ニケが私に嫉妬するなんて、完全に自分のせいじゃん。と思ったが、必死に悪くないとフォローしてくれるミコ。私は申し訳なさを感じつつも、ミコが生きていたことに安堵し、ため息をつく。


「ママと、パパが部屋に閉じ込められてるの……助けてあげて……」

「分かったわ、ミコ、動ける?」

「うんっ……よいしょ」


 フルフルと震えながらも、立ち上がるミコ。上半身を支えながら、階段を降りて一番奥の狭い物置部屋に向かう。


 鍵が閉まっていたが、ミコがニケが落としていった合鍵をドアノブにさして、鍵を開ける。私がその扉を開けると、手足と口元を塞がれて横になっているミコの両親の姿が。ンーンーと何かをしゃべっているようだが、私たちは上手く聞き取れないので、急いで紐とテープを外した。


「ぷはあっ、な、なにがあったの、ミコ、セリカちゃん!?」

「助かった……そっちはどうだ?」


 お母さんの方は外傷はなさそうだが、お父さんは右頬を殴られたような痕がある。口元が切れて、血を流していた。


 それをふき取って、一旦移動しようと言って、4人はリビングの椅子に腰掛ける。


「ニケが、ミコのことを襲ってきたんです」

「そんな……ニケの奴が!?」


 お父さんは怒りでテーブルに拳を打ち付ける。お母さんも、悲しそうな顔を浮かべて、下を向く。


「ごめんね、ミコ。私たちが不甲斐ないばかりに、不幸な目に合わせて……」

「ううん、あたし、セリカに助けてもらったから、大丈夫……それよりも、パパとママはなんともない?」


「ああ、抵抗した俺が一発殴られただけで、ママにはなにもしていない。セリカちゃん、本当に、本当にありがとう……ありがとうっ!!」


 急に椅子を立ち上がったかと思えば、土下座をするミコのお父さん。私は慌ててお父さんの前に行き、座らせる。


「ちょっと、やめてください、私、実はもっと前からこうなることを知らされてたんです。遅くなって、ミコを危険な目に合わせたのは私ですっ」

「知らされて、た……?」


 私は村に来た時のことを話す。実は、あの謎の声はいつの間にか取得していた【自動取得型エクストラスキル】、<警告>の効果だった。その日に起こる、身の回りの危険を断片的だが、キーワードにして、教えてくれる。


 今回は、ミコの身に、ニケが関与して、21時あたりになにかが起こると知らせてくれていたようだ。これが無かったら、今頃は……いやいや、怖いことを想像するのはやめよう。


 ……とても便利なスキルだけど、無効化できないし、アナウンスの声が少し不気味なので、なかなかに困っている。……これからも、ふとした瞬間にこの声が脳に直接語りかけてくるのか……という少しの恐怖を感じる。


 そのスキルの話を聞いたお父さん。でも、私を責めるようなことは言わなかった。


「それでも、助けてくれたことには変わりない。お父さん、嬉しいよ……」


 感極まって、私のことを抱きしめるミコのお父さん。娘と間違えてない!?


「お父さん、せっかく帰ってきて、一緒に居たい気持ちもあると思いますが、今日はミコを借りてもいいですか?」

「ああ、構わない。そっちの方が、ミコのことを考えれば安全だ。……俺たちは、何度もストーカーの侵入を許したマヌケだ」

「パパ、そこまではいってないわよ。それに、心配してくれてありがと。明日の朝には、ちゃんともどってくるわ」

「ううっ、うおおーん!!」

「ちょっと!」


 急におんおんと泣き出すお父さん。お母さんが背中をさすりつつ、家を出て、私の家の近くまで送ってくれた。



 ……。



 私の部屋に来て、ベッドに飛び込むミコ。もう大丈夫なようだ。


「ねえ、シーマにこの事、言ったほうがいいと思う?」


 私が問いかけると、ベッドにいたミコは下を向く。


「心配させたくないし、いい」


「そっか」


「……あっ!!!」

「どうしたの、セリカ?」


「シーマに今日は帰らないって、連絡してなかった……」

「げっ!? まずい、あいつのことだから、ご飯とか作ってずっと待ってるって!」


 時計は22時をさそうとしていた。私は急いで外に干してある磯臭い服に付いているポーチに手を突っ込み、白い勾玉を握って、シーマを思い浮かべる。


[[遅くなってごめん、まだ起きてる?]]


 ……。



 ……。


[[やっと来たか、ずっと待っていたんだぞ]]


 来た! やはりミコの予想は的中していた。心配そうな声のシーマに、申し訳ないと謝り、キウリ村に帰っていること、今日は帰らないことを伝える。


 ずっと待ってくれていたにもかかわらず、シーマはあっさりと了承してくれた。


[[また明日ね、シーマ]]


[[ああ、おやすみ]]


 それを最後に、勾玉の微弱な光は消えてしまった。……きっと、疲れていたのだろう、今頃、椅子に座ったまま寝てしまっているとか……。


 シーマが机に突っ伏して寝ているその姿が簡単に想像できる。何度か見た光景、シーマにも、結構大変な思いをさせてしまっている。


 家に戻り、ベッドには既に寝ているミコが。私も隣に入って、眠りにつく。


 今日は大変だった。明日は良いことないかな。


 夢には、シーマとティナちゃんが出てきた。よっぽど会いたいんだろうか。


「おかえり、セリカ」

「おかえり、セリカお姉ちゃん!」


「か……セリカ……」


 なんだろう、急に夢の中にミコが出てきて、私の身体を揺らす。


「じゃましないでよ~まだ、しーまとてぃなちゃんとしゃべってるのにい」

「なに寝言言ってるのよ、もう朝だけど?」



「えっ!?」





次回でキウリ村編は終わりです!


今日の夜、帰ったら書きます! よんでくださり、ありがとうございます!


これからもよろしくお願いします!!

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