46 帰りを待つもの
「どうだ、ティナ……?」
「うんっ、シーマお兄ちゃんも、お料理上手~!」
「はは、それは良かった……それにしても、あの二人遅いな。遅くなるなら、連絡をくれればいいのに。」
「うん……なにかトラブルに巻き込まれてなければいいけど……」
俺は彼女らから用事があるとしか聞いていなかったので、少々不安になる。もう21時だ。……夕飯を遅めに作って、ここまで待ち続けていたが、ティナは明日も学校なので、待つのを諦めて、二人でご飯を食べることにした。
セリカに習って、ティナのご飯は少し薄味にしてみた。それが良かったのか、ティナはパクパクと料理を口に運んでいく。子どもが美味しそうに自分の料理を食べてくれるのって、こんなにうれしいものなんだな。
「お兄ちゃん、食べないの?」
「あっ、ごめん、やっぱり心配でな……」
5分に1回くらい、胸元に紐でくくりつけてある勾玉(電話石)に触れる。……何かあれば、あいつらから電話してくるはずだ。
……誘拐されて、電話石を没収されてて連絡できないとかじゃ、ないよな……
いやいや、変なことを考えるのはやめろ。向こうは向こうでそれなりに戦える。そこらの悪党に簡単に掴まるような奴らじゃない。
「ごちそうさま!」
「ごちそうさま」
……。
「あはは、シーマお兄ちゃんが入ると一気にお湯が無くなっちゃうよ!」
「へへっ、あいつらに比べれば、そりゃなあ……」
……。
「……そして、おじいさんとおばあさんは鳥になって、幸せな暮らしをしましたとさ」
「なんだか、楽しそうに描いてるけど、悲しい話……」
「ティナ、この物語がバッドエンドって良く気づいたな。俺がお前くらいのとき、なんの疑いもなくハッピーエンドだと思っていたぞ」
……。
「それじゃあ、お休み、ティナ」
「うんっ、おやすみ、お兄ちゃん……」
……。
事あるごとに、勾玉に触れる。何度も連絡しようか迷ったが、出来ないまま、ティナが寝てしまった。ティナも心配だろうに、それでも「電話すれば」とは言わなかった。
あの二人を信じての事か、それとも俺に気を遣ったのか。……この子は本当に周りのことをよく見ている。獣人とは思えない。
……それだけ、過去に大変な出来事があったのだろう。この子の母親は今、どうしているだろうか。
9時45分……もう少し、粘るか……。
俺はティナに毛布を掛けて、部屋を後にした。
テーブルに腰掛け、作り置きの料理を出す。……まあ、帰ってくるわけないよな……。
肘をつき、時計とにらめっこをする。……はっ!
急に勾玉が微弱に光り出し、セリカの声が聞こえた。
[[遅くなってごめん、まだ起きてる?]]
読んでくださり、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!!!
もう少しで、里帰り編がおわってしまいっます!!!!




