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45 ニケとミコ  

セリカがミコの家に乗り込むところの、ミコ視点です。


 灯りを付け、明るくなった自分の部屋を見る。そこは、学校を卒業した時からそのままの姿で残してくれていた。


 勉強机に乱雑に置かれた教材、溢れたままの鉛筆削り。棚の中を見ると、セリカと一緒に撮った小さな写真。セリカは、これのことプリクラって言ってたっけ。どういう意味なんだろう。


 真っ白なベッドは、しっかりと洗って綺麗に整えられていた。……でも、ベッドの下に隠していた絵日記はそのままだった。それを取り、ベッドに横になって、パラパラと適当にめくる。


「ふふっ、なつかしいなあ……」


 絵日記の中は、あたしとセリカの登場人物が二人だけの世界が広がっていた。……小さいころから、あたしはセリカとしか遊ばなかった。セリカが居ればそれでよかった。


 にしても、これはもはや絵日記の形態を成すラブレターだ。これを送り付ければ、あたしがどれだけセリカのことが好きか、一瞬で分かる。


 絵日記をパラパラめくると、たまーに恥ずかしいことが描いてあるページもあった。これは、みせられないな……よくもまあずっとベッドの下に無監視で置いておけたものだ。


 セリカは、今頃どうしてるかな。謎の石で、シーマたちとお話してるんだろうか。もう8時だし、ティナちゃんと一緒に寝てるか。


 しばらく読み漁っていると、いつの間にか寝てしまっていた。そして、なにか近くでガチャという物音に気付き、目を開ける。



 扉からだ。ベッドの隅に寄って、扉から距離を置く。


 鍵を開けられて、扉が開く。そこに居たのは、ニケだった。


「ニケっ!? なんで、鍵を閉めたのに……!?」

「やあ、ミコ……この部屋にキミが居るのが……なんだか久しぶりな気がするよ」


 ニケはポケットに入れていた手を出す。握られていたのは、おそらく私の家の鍵だ。


「わざわざ合鍵を自分で作ったんだ。苦労したよ、ミコのお母さん、勘が鋭いのか、ちょっとでも音を立てると、起き上がって見に来るんだ」


 あたしの知らない間に、こいつのストーカー行為は拍車をかけてひどくなっていた。私の部屋専用の合鍵も作ってあった。鍵をかけていたのに、開けられたのはそのせいだ。


 声が漏れないように、扉を閉じて、ふさぐように立つ。……これじゃあ逃げられない。


「出てってよ、こんなこと、パパとママにバレたら許されないわよ!」

「ボクの気持ちを踏みにじって、よくそんなことが言えるよね……」


「あんたの気持ちなんて知らない。あたしはずっと昔から、あんたのこと嫌いだったのよ!」

「その絵日記に、ボクは一回も載っていなかった……」

「これ、読んだの……!?」


 一寸たりともズレていなかったから、安心していたけど、まさかこいつ……。


「街での生活はどうだい……?」

「……」

「ボクも付いていきたかったなあ……」

「……」

「ボク、家の跡継ぎで、街には行けないんだ。ミコが村を出るって聞いて、ボクは悔しかったよ」

「……」


「ミコたちの話も聞かせてよ、街での暮らしとか、気になるし」

「……っ」

「……そっか、本当に覚えてないんだね、ボクとの約束」

「……約束?」


「ずっと、寂しかったよ、ミコ……君が旅立ってから、ずっと苦しかった」

「だから、なに……?」


「もう、村から出て行ってほしくないんだ」

「そんな自分勝手な要望に応えるわけないでしょ!」


 あたしは手元にあった枕を投げる。ボフッと音を立てて、ニケのお腹あたりに直撃して、ズルズルと落ちていく。……ニケの顔は、とても怖かった。


 恨み……哀しみともとれるその表情に、私は少し恐怖を感じていた。


「あの<ピンク色の悪魔>にミコを取られるのが、悔しい。悔しいッ!」

「……っ!」


 その場でドタドタと足踏みをするニケ。思い通りに行かないことが悔しいんだろう。なんとも、幼稚なやつだ。


「だから、ボクは良いことを思いついたんだ。ミコを、僕から離れないようにする方法を……」


 そう言って近づいてくる。あたしは壁に追いつめられ、ニケは私の肩に手を伸ばす。


「きもち、わるいんだけどっ!」

「うっ!」


 私は警戒心がまるでないニケのお腹当たりを思い切り蹴る。セリカ達との冒険のお陰で、基本ステータスが上がっていて、簡単ではないが、ニケを反対の壁に飛ばすことが出来た。


 その勢いに乗せて、次々と手元にあるモノをニケに投げつけ、近づけさせないようにする。……でも、ニケはそれを受け止めながら、段々と近づいてくる。……まずい、逃げないと!


 すぐ近くの窓の鍵を開けようとしたが、焦りと恐怖でガチャガチャと手を滑らせる。


「ミコ、逃げられないよ、お母さんたちを部屋から一番遠くの部屋に閉じ込めてあるからね。いつか帰ってくるこの日まで、綿密に準備してきたボクのことを褒めてほしいね……」


「褒めてほしいなら、こんなことをさっさとやめるべきよ!」


 襲い掛かってこない様に、警戒心を表に出す。


「ボクの、言うことだけ聞いてればいいんだよッ!!」


 急に壁をドンっと大きな音を立てて殴る。私は驚いて、その拍子にニケに肩を強く捕まれる。


 そして、ベッドに押し倒され、仰向けにされる。……首を捕まれ、徐々に強く締められていく……


「もう、どこにも行かせないからね、ミコ……これから、ボクと一つになるんだ」

「ぐっ、ふうっ、はあっ、や、め……」


 声が出ない。苦しい。助けを呼ぶこともできない。しかも、こいつは私のことを殺す気だ。


 ニケの口から垂れたよだれが頬に落ちる。ゾッとして、出来る限り力を入れて叫ぶ。……でも、外に聞こえるほどにはならなかった。


 足をバタつかせてニケを剥がそうとするが、圧倒的な体格差でびくともしない。さっきはあえて無防備の状態で攻撃を受けて、あたしを油断させようとしたのか……。


 この後、あたしは何をされるんだろうか。恐怖で視界がぼやける。



 段々と首あたりがギリギリと嫌な音を立てて、軋んでいく感覚が強くなっていく。それと同時に、意識が遠のいていく気がした。


「フー、フーッ」


 もう、呼吸もうまくできていない。あたしは死を覚悟した。


「ボクも、すぐに会いに行くからね……っ」

「ぐっ!?」



 力が急に強くなって、私は視界が暗くなっていく。……もう、ダメかも。



 でも、急に意識が戻ってきて、呼吸ができるようになっていた。何が起きたのだろう。



 徐々に戻っていく視界。私が見たのは、物凄い剣幕で、ニケに怒鳴り、殴り掛かるセリカだった。


 あたし、また助けられちゃった……。

よんでくださり、ありがとうございました。正直、この話は無くてもストーリー進行にほぼ影響でないし、消そうと思いましたが、一部の方に需要があると思いましたので、そのまま上げさせていただきます。(誰向け……?)


こういう話が苦手な方、すみません。でも、お約束と言ってはなんですが、ちゃんとハッピーエンドに持っていきますので、安心してご覧ください。


今回もよんでくださり、ありがとうございます。金曜日は休みなので、たくさん書き溜めておきたいと思います。それまで更新頻度が落ちますが、頑張ってますんで応援よろしくお願いします!


あと、アドバイスなどありましたらドンドン教えてください!


次回はお昼ごろにアップします! 次はシーマ達の、セリカ達を待っている間のお話です!

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