43 再会のニケ
「セリカちゃん、話は聞いたよ。ミコの事、何度も助けてくれて、ありがとう」
「いえいえ、私は何も……」
ミコのお父さんは、私に頭を下げる。
家に来て、椅子に座らされたかと思えば、またまた褒めちぎりラッシュの始まりだ。
……悪い気はしないけど、正直、騎士団のみんなの力があってこそなので、私だけ褒められることに少し疑問を抱く。
私は昼食を済ませてあることを伝えると、ミコのお母さんがジャスミンティーを用意してくれた。良い香りのするジャスミンティー。これならいくらでも飲めそう!
ニュー私、というか猫族セリカの舌は、香草をとても好む。前世じゃ、カップめんとか、肉とか、肉とか……。
肉ばっかりじゃん! というくらいに、不健康な生活をしていたから、この変化は自分にとってとても嬉しい。「おいしくヘルシー」は、食事を変えるのではなく、舌を変えよということか。
「いい香り~……うん、美味しいですっ」
嘘くさい食レポのようなコメント。それでも、ミコのお母さんはとても喜んでいた。
ミコの両親は、なんというか、とても抜けているというか……。
あんまり、他人の両親を馬鹿にするような言い方は良くないけど、いい意味でマヌケなのだ。
……本当に、いい意味で。
ミコもそれをしっかり受け継いでいるが、本当にこの家族、人を疑わず、騙されやすい。ドジっ子属性を併せ持ち、周りを心配させるのも特技のうちだ。
だから、幼いころから彼女を放っておけなかったのだろうか。教えて、幼いころの私。
「ママの作るお茶はとってもおいしいわ! 街に売り出せば、大儲け間違いなしよ!」
……ただ一つ、料理の腕は、受け継げなかったようだ。
「そんな、二人して褒めたら、お母さんはぜちゃう!」
とっても笑顔なのに、急に物騒なワードを入れてくるミコのお母さん。
その後も、こんな感じの褒めて褒められての会話が続き、一区切りついた私たちは、家を出た。
「セリカ、そういえば、聖剣のあった場所ってどこ?」
「ああっ、そんなのあったね」
二人は聖剣があった滝の裏まで、10分ほど歩いた。そこには、剣が引き抜かれた後の台座が残っていた。
やっぱり、あとから置いたとしか思えない綺麗さだ。壁や地面は、とても汚いが、台座だけ、金属の輝きを放っている。
当時は焦ってたけど、冷静になってみると、変だな……。
この世界にはもともと、滝はあったけど、聖剣は無かった? ……私がこの世界に来るときに、世界に改変が加えられたとか?
ダメダメ、今はミコと一緒にお散歩中だ。難しいことは後で考えよう。
「ここ、涼しいわね! 地面を綺麗にして、寝転がりたいくらい!」
「そうね、とても気持ちいい……」
サーサーと落ちる滝の音、水しぶきと涼しい風に、マイナスイオンを感じる(きがする)。
「たまには、ここに来るのもいいかもね、セリカ?」
「また息抜きしたいとき来ようね、ミコっ」
私のことをニコっと見つめるミコに返す。ミコは照れながらも、手を差しだしてくる。
「手、繋いでもいい?」
「いいよっ」
「ありがとっ、セリカ……」
手を繋いだまま、今度は海が綺麗に見える高台へ登った。頂上の芝生に並んで座り、海を見つめる。
「……綺麗、いい香りがするね」
「あたしも、この香り、好き」
次第に良い感じの空気になって、こちらを見つめるミコ。私は顔を近づける。
唇が触れそうになる、その瞬間。
「やっと見つけたよ、ミコ」
「えっ?」
私たちは驚き、声のする方を見る。
そこに居たのは、頭の左側だけ茶髪の黒猫男が居た。
「ニケ!? なんでここに!?」
ミコが名前を口にする。たしか、幼少期からミコがよくいたずらをされていたという、あのニケ……?
なんでもミコのことが好きらしく、部屋に勝手に侵入したり、ラブレターを毎月送ったり、ひどいときには、下着を盗んだりした、とんでもないストーカー男だ。
「あれ? ボクとの約束、忘れちゃったの?」
「約束……?」
覚えてないのかな。空をみて考える様子のミコ。
「まあいいさ、すぐに思い出すよ……」
なんだか今、私をにらんだように見えたんだけど、私、何かした!?
「ふんっ、今はセリカとデート中なんだから、近寄らないでよねっ、いこ、セリカっ」
「わちょ、ミコっ!」
引っ張られるまま、高台を下っていく。振り向くと、ニケはニヤりと不気味な笑みを浮かべていた。
よんでくださり、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
できましたら評価感想の方をよろしくお願いします。
ここがダメとか、そういったアドバイスでも嬉しいです。よろしくお願いします!




