40 アフターバザール
「ただ、いま……ばうあっ」
家の扉をあけ、靴を履いたまま床に倒れこむミコ。シーマは靴を脱いで、椅子に座り、テーブルに突っ伏す。ティナちゃんは、靴を脱いで、上着を脱ぎ、階段まで歩く所まで頑張ったが、階段の一段目で力尽きてグダっと溶けてしまう。
「みんな……あははっ、はは……はっ」
私もミコの隣で倒れた。……眠い。つかれた。
慣れない運転、人込み、食べすぎ……いろんな原因が重なって、私の身体は悲鳴を上げていた。
「んむ……ん……? ここ、って」
しばらくして、身体を起こすと、なぜか椅子に座っていた。時計を見ると、針は21時を指していた。なんと、2時間も気絶していた。周りを見渡すと、向かいの椅子にシーマとティナちゃんが毛布を掛けて寝ていた。
玄関、私の横、風呂場にはミコの姿はない。……きっと、ミコが運んでくれたのだろう。
「すんすん……匂うかな。お風呂入ろう」
街の匂い、バザールの骨董などの古臭い匂い、甘い匂い、混ざり混ざって独特なニオイを放つ私の服。風呂場に行き、速攻で脱ぎ捨てる。
「ミコ? ミコー?」
いないのかな。浴槽には、お湯が張ってあった。ミコがやったんだと思うけど、それなら一番に入るのは申し訳ないなあ。
ミコを探すため、下着姿のまま二階に上がる。
「ミコ?」
寝室にはいない。
「ミコ~?」
ティナちゃんの部屋……にもいない。 うーん、どこいっちゃったんだ?
「み~こ~」
シーマの部屋にも居ない。キッチンにも。
「……はぁ、スキル、クリエイターモード」
クリエイターモードを発動して、マップを開く。……いた、ベランダじゃん……。
電気がついてなかったから、見落としてた。私は二階の扉を開ける。……ベランダにつながっている戸の鍵が開いていた。
「ミコっ……って、寝てる……」
途中で力尽きたのだろうか。座ってぐったりしている。
……なんかぬいぐるみみたいなのを持ってる。なにこれ。
ミコが手に持つぬいぐるみを近くで見ようと、近づいた瞬間、ミコの目が覚める。
「んにゃ?」
「あっ、おはよう、ミコ」
「ん-……ん!? なんでセリカ、下着姿なの?」
「あっ!」
完全に忘れていた。これも全部ミコが居ないからだし!
「どこにもいなくて心配したんだよ!」
私の目が光ってるせいか、ミコの藍色の瞳は若干黄緑の光を反射していた。
「ごめん、わざわざ……」
◇◇◇
「セリカどの、かゆい所はござらぬか~」
「うふふ」
一緒にお風呂に入ることになって、ミコは背中を洗ってくれた。向かい合いようにして、一緒に浴槽に入り、顔を合わせる。
「今日は楽しかったな~。疲れの方が今は大きいけど」
「そうだね……私たち、家に帰ってすぐ倒れてたし!」
「あはっ!」
「ほら、こっち」
私の膝にミコが乗るような体制になり、ミコの耳をマッサージする。
「ふぁ~」
とてもリラックスしていて、可愛い声を出すミコ。
「気持ちいい?」
「うんっ」
……。
次第に変な気分になるミコが、こっちを向いて顔を赤くしている。
「ねぇ、セリカ……」
「んっ……」
……。
……。
なんだか、疲れが吹き飛んだ気がした。お風呂を出て、着替えて髪を乾かす。
ミコの長い髪が、サラサラになるまで、傷めないように時間をかけてドライヤーで乾かす。
「んむ……お姉ちゃんたち……」
ティナちゃんが起きて、風呂場の扉を開ける。
「あっ、ティナちゃん、おはよう?」
「うん……」
眠そうな目をこするティナちゃん。シーマも起きて、こちらに来る。
「毛布、ありがとな」
「ミコがかけてくれたんだよ」
「ふふんっ」
「ふぁ~あ……俺も風呂に入るか……」
「私も……」
「一緒に入るの?」
「シーマお兄ちゃんと一緒に入っていいの……?」
「別にいいけど……シーマは?」
「答えづらいな……はいともいいえとも言えない」
「ティナちゃんがいいならいいけど、変なことされたらすぐ言ってね?」
「おい、心配してたのはそこかよ」
「え? 他になにがあるの?」
「おれ、子どもを風呂に入れたことないぞ」
「大丈夫だよ……ふぁ~あっ……」
「じゃあ、任せたわ、シーマ」
そう言って、私とミコはベッドに行く。
「明日は私たちがティナちゃんの送り迎えいこうね」
「うん、セリカ……そのあと、ちょっとだけ、一緒に来てほしい所があるんだけど……」
「私と? いいよ、どこに行くの?」
「明日になったら、教えるっ。じゃあ、おやすみ、セリカ」
そう言って、眠りについてしまった。
……私も、今日は疲れたし、寝ますか……。
これからもよろしくお願いします。
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