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39 ばざーる! 


 私たちが人込みをかき分け、シーマたちのいる会場の中心へ向かう。


「ご、ごめん! 遅れちゃった!」

「やっときたか」

「お姉ちゃんたち!」


 目の前には、ティナちゃん達が装飾した可愛らしいカウンターが。その上には、ティナちゃんとシーマの共同作業の結晶、猫耳付きの帽子! と、小さなアクセサリーがいくつか置いてある。


「……あれ? なんか数少なくない?」

「もうほとんど売れちゃったの! セリカお姉ちゃんたちのお陰だよ!」


「おいおい、俺たちの分は取っておいてくれよ」


 後ろから声が聞こえた。アシメさんだ。


 アシメさんとレイラさんは遅れて簡易テントを彩ったお店の前まで来た。二人はカウンターに乗っている商品を見て、それぞれ気に入ったものを手に取る。


「シーマ君、これちょうだい?」

「あいよ」


 シーマにお金を渡すレイラさん。そして、シーマは商品を手際よくササっと袋に入れて、レイラさんに渡す。あれ? シーマって前世スーパーの店員だったりした?


 袋詰めの技術が何気プロいのがちょっと意外で面白くて、目の前で吹き出してしまった。


「プフッ」

「なんで笑うんだよ? なんかおかしいか?」


「いやっ、何でもないっ」

「?? ……ほら、アシメさんも、どうぞ」


 ごまかす私を見ながら、同様の作業をアシメさんの買った商品にもする。


「あんがとよ、シーマ」

「買ってくれてありがとうございました!」


 元気よくお礼を言って、頭を下げるティナちゃん。カウンターからは、肩から上しか出ていなくて、お礼を言い終わり、頭を上げるまで二人は気づいていなかった。


「おっ、この子ってセリカたちの……?」

「そうです! ティナちゃんって言うんです!」


 レイラさん達には、以前保護した子どもの話をしたっけかな。察しのいいレイラさんが、ニコっとして、屈み、ティナちゃんと目線を合わせて話す。


「ティナちゃん……、幸せ者ね」

「えっ? ……あっ、はいっ!」


「これ、ティナちゃんが作ったの?」

「そうだよ! シーマお兄ちゃんと一緒に作ったの!」

「すごいわねっ!」


 ワシワシとティナちゃんの頭を撫でるレイラさん。とても尊い。……尊い。


 ティナちゃんもとても嬉しそうで良かった。今回はバザールに来てよかったな。


 ……いやいや、まだ始まったばかりだし、なに満足しちゃってるの私!?


「セリカ、ぼーっとしてるけど、大丈夫?」


 きゅっと私の左手を掴んで、心配そうに横から私を見つめるミコ。私はそのまま手を繋いで、ニコッとする。


「うん、バザールのにぎやかさに、ちょっと驚いてたの」

「そっか、ねえ、あっちの方からいい匂いがするの、行ってみない?」


「ミコ、あんたさっき私に無理やりパフェ食べさせたでしょ!?」

「もうお腹空いたもーん!」


「ははっ、二人とも、勝手に二人だけの世界に行くなよ」

「はっ」


 いつの間にかニヤけていた顔に力を入れて、真顔になるが……いまさら遅いか。


「ごめんねシーマ、作業手伝えなかったわ」

「いいよ、ティナとの作業、楽しかったから」


「片付けは手伝うから、終わったら呼んでねっ」

「ああ、分かった」


「それじゃ、私たちもゆっくり会場を回るとするわ。頑張ってね、ティナちゃんっ」

「ありがとうございました! えと」

「レイラよ。こっちはアシメ。英雄さんのパーティーメンバーよ?」


「はいっ! レイラさん、アシメさん!」


 ティナちゃんが頭を下げると、二人は人込みに消えていった。


「あたしたちもいこ?」

「うんっ、あっ!」


「ん?」


 そう言えば、かるたを出すのを忘れてた……。


 私の短い叫び声に、シーマはなにやら察して、こちらにこえを掛ける。


「おまえ、かるた家に忘れて来ただろ? 俺が持ってきたよ」

「シーマぁ! ……でも、そのかるたはいずこへ?」


「お姉ちゃんたちが作ったかるたは、バザールが始まってすぐに全部売れちゃったんだよ! すごい!」


「そうだったんだ……もっと作っておけばよかった」

「あれは売れて当然よ!」


「だから、心配はいらない、好きなだけバザールを楽しんで来い」

「うんっ! じゃあ、またあとでね!」

「はーい! いってらっしゃい~!」


 ティナちゃんとシーマに見送られながら、人の流れに乗っていろんなお店を見て回る。



 生活雑貨、陶芸品、便利アイテム、骨董、自作アクセサリーなど、様々な商品が並ぶバザール会場、確かに、これは見て回るだけでも楽しい。


 アシメさん、いい趣味を持っているな~。


「セリカ、あれ!」

「ん?」


 少し先を指さすミコ。そこには、出張武器屋らしき店が。


「いらっしゃい、なんかほしいものがあったら言ってくれ」

「はいっ」


 カウンターには、剣や盾、小物類が並べられている。


「ミコ、なにか気になるモノでも?」

「うん、これ見て?」


 どうやら遠くからでも存在感を放つ純白の剣が、ミコの目に留まったようだ。


「これっ、シーマの剣に似てる!」

「たしかに! シーマの剣も真っ白だったね」


 白い剣って、なんか包丁みたいに加工してあるから白いのかな?


 と思っていたら、店員さんがわざわざ丁寧に解説してくれた。武器屋に来る人は、強い武器が欲しい人や、武器マニアがほとんどだ。この人はその都度手に取った武器について詳細を教えてくれる。


「その剣は、白龍の剣と言って、天空島に住んでいる白いドラゴンの羽根を削って作ったものだよ」

「これ、羽根から出来てるんですか!?」


 白龍、どんだけデカいんだ!?


 カラスの羽根とかを想像する。あの真ん中の硬い所を削ってこの形にしたってことでしょ? たしか、中は空洞だから、削って剣にするって、相当大きくないとできないよ!?


「お嬢さん、いい反応をしてくれるね」

「白龍って、そんなに大きいんですか?」

「ああ」


 店員さんの解説によると、天空島というのは、台風のような渦巻き状に回りながら空中に漂う浮島のことで、この島に影が落ちないのは、天空島が台風だとすれば、ここは台風の目に当たる場所だからだそうだ。


 島の周りに陸地がない代わりに、空には広大な天空島が広がっているという。雲の上にあるらしいから、姿はうっすら見えるか見えないか......あれ、雲?島?分かんない!


 ……実は、天空島の方が文明レベル高いんじゃないの!?


 どうやって浮いてるとかの解説はしてくれなかったが、ちょっと行ってみたくなった……なんてね。


「あんた、どうだい? ここまで解説聞いたらほしくなっちゃったかい?」


 クスっと笑って、ミコをゆさぶる店員さん。


「欲しいです! これ、いくらですか?」

「金貨1000枚だよ」


「   」

「   」


 言葉を失う私たち。……もしシーマの剣がこれと同じものだったなら、あの人のお金持ちっていう噂は、割と本気かもしれない。


「はっはっは。これは俺の店の看板みたいなもんなんだ。値切ることはできないぞ」

「うーん、それじゃあ仕方なし、あたしにはまだ早かったってことね」


「俺はバソムから来た武器商人さ。これが買えるくらい強くなって、またおいで」

「よーし、待っててください! いつかかならず、シーマとお揃いの剣にしてやるー!」


「うふふ、じゃあ、失礼しますっ」


 私たちは頭を下げて、店を出る。……ミコ、なんだかんだでシーマのこと気に入ってるわね。


 ……ちょっと嫉妬しちゃうかも。



 ◇◇◇



「こんなもんか、あとはそのカウンターを畳んで、あそこの貸し出し場に戻すだけだ」


 私たちはバザール会場をすべて見て回り、満足したところで、少し早くシーマたちの所へ帰った。


 そして、約束通り片付けのお手伝いをする。


「おっも……セリカ、ちゃんと持って」

「ミコこそ、ちゃんと持ってよ……って、きゃっ!?」


 カウンターは意外にも重かった。私たち二人で持ち上がらないって、どうやって運んできたんだ?


「お前ら、しょうがないなぁ」


 私たちは片側を二人で持ち、シーマは反対側を軽々と持ち上げる……とはいかなかった。シーマもプルプルしながら、3人で一緒に貸出場まで返しに行く。


「知らない間に、疲れて力が出なくなってるな……朝はこんなじゃなかったのに」

「あはは……」


 カウンターを返却し、気づいたら見事にまっさら、学校のグラウンドのようになる会場。


 物が何もないと、結構広いんだなぁ……。


 私は帽子を取り、蒸れてかゆくなった耳を人差し指でカリカリ。


 気が抜けていたようで、周りの人に猫耳を見られてしまった。


「あれっ、セリカさんじゃないのけ?」

「ほんとだ! セリカさんじゃ!」


 最初に気づいた親子が、大きな声でそう言って、私に近づく。


「セリカさんも来てただね! 握手してくれまんか!?」

「あたじも!」


「あはは、どうぞ!」

「ふぁー、あでぃがどう、ずずっ、セリカさん!」


 鼻水を垂らしたままの親子は、握手した手を大事そうに握り、お礼を言う。


「いえいえ、こちらこそ! フリャは良い所だね!」

「でしょでしょ! また来てねん!」


「うん、必ず!」


 親子は去って行ったが、親子の私たちの名前を呼ぶ声を聞きつけた人が次々と私の元へ来る。


 ……ガラガラになったはずのバザール会場が、またたくさんの人で一杯になってしまった。



 ◇◇◇



「きゅるるるるぶぉん」


 沢山の、フリャの住人に見送られながら、車に乗り込む私たち。



 ……最後の追い握手会で、私たちはどっと疲れた。


「はやく、帰ろっか……」

「うん……」


 助手席に座るミコ、後ろを見ると、シーマ、ティナちゃんも……みんな、目がしんでるううう!


 結局、最後までレイラさん達とは会えなかったなあ……どこに行っちゃったんだろう。


「じゃあ、しゅっぱーつ!」

「おお~っ」

「にゃお~っ」


 なんと気の抜けた返事だろうか。


 日が落ちる前に、街に帰らねば。


 


 私はフリャに向かう時よりも、強くアクセルを踏んで帰り道を進む。


 楽しかったな、バザール……。


 毎週はさすがに疲れるけど、たまに行くくらいならいいかもね!


 エムニスさんにもお土産を買ったし、明日届けよう。



 ……。


 ……。


 肩になにかがのしかかる。


 助手席を見ると、ミコは私によされかかって寝ていた。


 ネイバまであと少し。みんな、待ってて!

よんでくださり、ありがとうございます!


最近ちょっと一話ごとの文字数を増やしていますが、よみにくいとかありましたら感想とかからお願いします。


できるだけ読みやすい様に無駄を省いているつもりですが、みなさんの声が聴きたいです!


これからもがんばりますので、みなさん評価感想をお願いします。


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