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38 久しぶり!


 私とミコはフリャの中心、ギルド支部がある広場のベンチに座る。


「もうお腹いっぱい……セリカ、食べる?」

「ええ……?」


 私は半ば強引に渡されたパフェの残りをスプーンでつつく。とても甘くておいしい。


「お、いたいた、寝坊騎士!」

「ここに居たのね! こんにちは、セリカちゃん、ミコちゃん」


 目の前に現れたのは、アシメさんとレイラさんだった。


 そっか、アシメさんはバザールでお宝を探すのが趣味なんだっけ……。


「こんにちは、アシメさん、レイラさん!」

「レイラさん達も来てたんだ!」


「こんなところで何してるの?」


 屈んで、垂れてくる髪の毛を耳に掛ける私服姿のレイラさん。綺麗な白い肌、背も高くて、モデルみたい……。


 いつも甲冑で隠れていた美貌を見せつけられ、口が開きっぱなしになる私たち。……っと、いけない、せっかく挨拶してくれたのに、無言はまずい。


「あっ、えっと、私たちもバザールに出店するんです!」

「やっぱり、そうだったんだ!」


「ぜひ、アシメさん達も寄って行ってください!」

「ああ、楽しみにしているぞ」


 ニコッと笑う二人。いつもと違って、なんだか夫婦っぽい! ……夫婦だから、そりゃそうなんだけど。


「二人とも、なんだか雰囲気が違う!」

「私たちは、仕事を全力でやる代わりに、休日は全力で息抜きをするって決めてるのよ」

「へぇ~強さの秘訣ってやつ?」


「うふっ、そんなトコ?」


「なあお前ら、暇なんだよな?」

「えっ? はい」


 急にアシメさんがこちらに声を掛ける。なんだろう。


「この街の名所、知りたくないか?」


 ◇◇◇



 私たちはアシメさんに案内されるまま、時計塔のふもとまで来ていた。


「ここがこの街で一番高い建物よ! どう? すごいでしょ!」

「俺たちは、この街に来ると、いつもここで風を浴びるんだ。……気持ちいいぞ」


 4人ははしごを上り、一般客用の展望エリアに着く。すると、狭かったはしごとは真逆の、フェンスで囲まれた広いスペースが。それ以外に風を遮るものはなく、気持ちいい風が体を撫でる。


 ミコと私は興奮して、フェンスまで駆け寄り、手をついて、景色を見る。


「はいっ! いい景色~!」

「あたしの家、見えるかなっ」


「あはは、さすがに遠すぎてわかんないよ!」


 遠くの方に、うっすらとネイバの街並みが見える。私たち、あんなところから来たんだ……。


「アシメさん、いい場所を教えてくれてありがとう!」

「仲間には、共有しておきたい場所ベスト4だ」


 アシメさんはニコっとして、手を前に突き出し親指を畳んで<4>を表す。


「なにそれ」


 呆れ顔のレイラさん。


「ミコ、どうかした?」

「ううん、バザール会場、かなり人が居るなーと思って」


「ふーん? どれどれ」


 うっ、怖い! バザール会場を見るには、かなりフェンスから身を乗り出さないといけない。後ろから押されたりなんかしたら、間違いなく死んでしまう。


 ……いや、猫族は着地できたりする? ……いやいや、無理でしょ。猫族は猫じゃないんだから。


「すごい、なんだか人が多すぎて真っ黒に見える!」

「アシメさん、バザールってあんなに人が来るの?」


「いや、多分、お前らが来たからじゃないのか? いつもの5倍くらいは人が居るぞ」

「そうね、私たちもちょこちょこセリカちゃんたちが来ているっていう噂を聞いていたわ」


「それで探してたんですか……?」

「噂を聞いていたら、すぐそこに居たのよね」


 一体、誰が広めたのだろう。私たち、ちゃんと帽子も被って分からない様にしていると思うんだけど。


「さて、そろそろ満足したか?」

「はいっ! こんなに良い所を教えてくれて、ありがとうございました!」

「アシメさんって街の女の子をナンパしてる人ってイメージあったけど、観光が趣味だったんですね、あたし、見直したわ!」

「おま、まだそのイメージだったのか? 俺はナンパなんかしないぞ!」

「あははっ」


「しっかし、今日はマトモに買い物できるか怪しいな」

「そうねぇ……」


「あたしたちの影響力ってバカにならないわね」

「はは……こんなにとは思わなかったよ」


 私たちははしごを降りて、バザール会場の入り口まで向かう。9時30分。そろそろいい時間かな。遠くに行く時間は無いし、ここらへんに居よう。


「シーマとティナちゃん、順調に行ってるかな?」

「気になるけど、この人込みをかき分けてくのしんどい……」


「そうねぇ、こんなに混雑するとは思わなかったわ」


 バザール会場の人込みを見て、入口まで来たはいいものの、一歩も前に進もうとしない私たち。


「と、とりあえず、10時まではここで待ちますか……」

「それが賢明ね」



 ◇◇◇



「それでよ? 俺たちは穴に落ちて、いきなりボス級の魔物の目の前に落ちたんだよ!」

「ひえぇ!」

「よく生きて帰ってこれたわね……」


「それだけでなく、帰ってきてすぐに私たちの応援に駆け付けるだなんて、お二人、本当に凄いですね!」


 私たちが二人を褒めちぎると、とても嬉しそうにしていた。……褒めちぎるっていうか、褒める所しかないんだけど。


話がひと段落ついて、レイラさんは深呼吸してからこちらを見つめる。


「その、これからもよろしくね? 私、あなたたちと仲良くなりたいわ!」

「俺からも、よろしく頼むぜ」


「「はいっ!」」


 返事と同時にバザール開始の合図がなる。長話しすぎて、時間を忘れていた!


「まずい! シーマたちに怒られちゃう!」

「ちょっとミコ、一人で走らないでよ!」


 私は苦笑いするアシメさんとレイラさんを置いて、ミコを追いかける。




 待ちに待った、バザールの始まりだ!

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