表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/63

34 共同作業 

この話は、シーマくんがメインのストーリーとなります。


 俺とティナは手を繋いで店を回り、布や細かい装飾など必要な材料を買い集め、家に帰る。


 二階からは、セリカとミコが楽しそうに作業する声が聞こえる。


「ただいま」

「ただいまー!」


 上から小さくおかえりと聞こえたような気がした。


 テーブルの上に買ったものを広げ、すぐに使うものを床に並べる。俺たちは、猫耳を模した装飾が付いた帽子を作ることにした。


 これには、獣人と人間が仲良くなれるようにという願いが込められている。……ティナも、俺の案に賛成してくれた。帽子は、日差しを遮る目的と、獣人が耳を隠す目的がほとんどで、飾り気のあるものは少なかった。だから、いいアイデアだと思ったんだ。


 ……と言っても、作るのは裁縫の熟練度を上げているティナがほとんどで、俺は布材を型に合わせて切ったり、装飾を縫い付けたりするのを手伝うだけだ。


「ふう、たくさん買ったな」

「いっぱいつくるぞー!」


 やる気のティナを見て、俺もなんだか気持ちが高ぶってきた。


 ……。


 ……。



「だ、だめだ……」

「お兄ちゃん、がんばって!」


 結果はなかなかにひどいものだった。型が用意されているにもかかわらず、熟練度が足りないのか思うように手が動かない。


 俺が切り取った布材は、切った部分がヨレヨレになったり、余分に切りすぎて修正がきかなくなった物ばかりになってしまった。


「あっ、布がなくなっちゃった……」

「ご、ごめん……」

「う、ううん! お兄ちゃんのおかげで、もう10こも作れたよ!」


 さすがの手際だ。俺の切り取った布材を手直しして、全てつなぎ合わせ、装飾をササっと付けていく。


 わずか5~10分ほどで、一つの完成品を生み出していくティナを横に、俺はただ見ているだけだった。


「俺、追加で素材を買ってくるよ」

「う、うんっ……ありがとう、お兄ちゃん!」

「へへっ、俺が帰ってくる前に全部使いきっちまいそうだな……他の物も作ってみるか?」


「いいの!? じゃあ、セリカお姉ちゃんが良く使ってるポーチ、新しいの作ってあげたい!」

「プレゼントか。いいな……じゃあ、その分の素材も買ってくる」


 俺は扉を開け、一生懸命帽子を作るティナを見ると、ニコっとして見送ってくれた。



 街を歩いていると、住人に声を掛けられる。


「……シーマさんですか?」

「ん? ああ、はい。何か御用ですか?」


 初対面、相手は俺のことを知っている。……目の前で声を掛けるのは、狐族の女の子、犬族の男の子、人間の男の子と女の子の4人グループだった。


「精鋭騎士団長のシーマさんだ! すごい!」

「握手してください!」


「ああ、俺で良ければ……」


 彼女らの要望に応え、笑顔で握手に応じる。……この役はセリカ達の方がお似合いだな。……でも、悪い気はしないな。


「シーマさんっ! これからどこかお出かけですか?」

「ああ、明日のバザールに出品する商品を作るための素材を買いに出かけようと思ってな」


「バザール! あたしも行きたかったな~」

「フェファルちゃんはカノトと店のお手伝いをするんだっけ?」


 フェファル……カノト……なんか、聞いたことあるな……。


「あっ、ごめんなさい、シーマさんっ」

「え? えあ、仲がいいんだな」


 


 子供たちは、それぞれ顔を合わせてニヤニヤしている。


「シーマさんっ、もしよろしければ、なんですけど……」

「なんだ? 言ってごらん」


 狐族の女の子は、手を後ろに隠して、こちらを見る。


「今日、用事があるって言ってたんですけど、やっぱりティナと一緒に遊びたいんです! 家に行っても良いですか?」

「ティナと一緒に?」


 そうか、思い出した。この子達はティナがよく学校の話をするときに出てくるお友達だ。


 ティナ、用事って、内容までは言ってなかったんだな。


「ちょうどいい、俺とティナで帽子作りをしているんだが、俺が布を無駄遣いするせいで素材が足りなくなったんだ」


「一緒に、布材やアクセサリーを集めてくれないか?」


「「はいっ!」」


 彼女らに小銭を渡して、布やや仕立て屋に向かわせた。彼女らのセンスを信じよう。……少なくとも、俺よりはいい物を買ってくるだろう。


「はいっ! これとかどうですか?」

「はやいなっ!?」


 茶髪の少女、たしか、エナといったか。帽子に合いそうな無地の淡い黄色の布材を持ってくる。それとおつりを俺に渡し、顔色を伺う。


「ああ、いいセンスだ。やっぱり、俺が選ぶよりもいい物を持ってくるな。」


 その後も、15分ほどで全員が帰ってきて、それぞれ買ってきた布材をこちらに渡す。


「ありがとう、みんな……じゃあ、ティナをビックリさせてやろう」

「あっははは! ティナ、ビックリしてくれるかな?」

「ティナちゃんの邪魔にならないかな……?」


 

 ◇◇◇



「ただいま」

「「お邪魔しまーす!」」


「えっ! みんな!?」


 予想通りのリアクションをしてくれるティナ。俺たちは安心して、買ってきた布材をティナに見せる。


「これ、みんなで選んで買ってきたんだ」

「うわあっ、ありがとう! 綺麗!」


「これはあたしがえらんだのよ!」

「これはボクが」

「いいでしょ。これ、私が選んだの。それで、これがヒロがえらんだやつ」

「おい、勝手に俺の分まで紹介するなよなあ?」


「「あははっ」」


「さて、みんなでお昼までに完成させよう」

「「おー!」」



 ◇◇◇



 お昼。


 俺は結局布材を布切れにするだけだったので、キッチンカウンターの向こうから彼女らの作業風景を眺めていた。


 すると、上から二人が降りてくる。


「あれれっ? なんだかティナちゃんがいっぱい……あっ」

「いらっしゃい、みんな!」


 カウンター前にあるテーブルの椅子に座り、俺の説明を聞く。


「そうだったんだ……足りるかな」

「何がだ? 布材ならたくさん買ったぞ」


「んや、お昼ご飯のはなしっ」

「ああ。……って、全員分作るつもりなのか?」


 セリカのやつ、本当に親切だな……もし二人が外出していて不在なら、俺はこの子達に一旦帰って家族と一緒に食えとか言っていたかもしれない。


「ご飯、食べる人?」


 セリカの問いかけに、ティナのお友達は顔を合わせて、なにやら遠慮している様子。


「みんな、おうちにご飯あるもんね……?」

「あたし、聞いてくるっ!」

「お、俺もー!」

「ちょっと待ちなさい!」


 犬族の少年、カノトくんを残して、皆は家を出て行った。


「カノト君は、大丈夫なのか?」

「ぼ、ボク、フェファルちゃんと一緒にすんでるから、多分聞いてきてくれると思います……」


「そっか。……じゃあ、ティナと一緒に少し待っててくれ。」

「は、はいっ」


 ティナはカノトを隣に座らせ、布材の切り方や、布を繋ぎ合わせる順番などを説明し、実践させる。……彼は、熟練度は低いはずだが、慎重さで熟練度の低さからくるミスをカバーしている。


「あの子は、センスがあるな」

「なにシーマ。お父さんになったつもり?」


 隣でニヤつくミコ。


「うおっ、いつの間に。……そんなんじゃないさ。でも、俺はなんにもできなかったんだ」


 距離が今朝よりも近くなった気がする。もう、許してくれたということでいいのだろうか?


「ティナちゃん、あたしにも教えて!」

「ミコお姉ちゃんもやってみる?」


 ……。



 説明を受け、やり方を見ているときは自信満々だったミコ。だが、いざ作業を始めると段々表情が渋くなっていく。


「なにこれ、むずかしすぎる……」


「あっはは! ミコお姉ちゃん、シーマお兄ちゃんよりも苦手なんだね!」


 無邪気にそう言うティナ。ミコは「ガーン」と頭上に文字が浮かびそうな表情をしている。


「さっ、あたしはセリカの料理でも手伝いますかねっ」


 立ち上がり、俺とセリカの居るキッチンへ来る。


「ミコ、もうじきできるから、テーブルを綺麗にしておいてくれない?」

「えへええっ? ……ぶう」


 なんだか可哀想なミコを見て、一緒に俺がゴミにした布材や未使用の装飾でぐちゃぐちゃのテーブルを綺麗にした。


「ミコ、そういう日もあるさ」

「シーマのフォローはなんか奥に悪意を感じる!」

「ええっ!? そりゃねーだろう……!?」


 良かった。いつものミコだ……下をベーと出して、まとめた材料を俺に渡す。


「セリカ、それ運ぶよっ」

「ありがとう、気を付けてね?」


 出来立てのご飯。白米とミソスープとサラダと魚……めちゃめちゃキウリ村らしい食事だ。来客のことを意識しているのだろうか?


 キウリ村は米が主食だ。



 一応、全員分の配膳が終わり、セリカが一息つくと、子供たちが帰ってきた。


「セリカさんっ! あたしたちも一緒に食べていいですか!?」

「待ってたよ! さ、食べよっ?」


「テーブルデカくてよかったな……」

「ホントね……」


 俺とミコは、テーブルを部屋の中心にずらし、二階から椅子を持ってきて、全員で囲うようにして座る。


「それじゃあみなさん手を合わせて」


「えっ、こう?」


 子供たちは見よう見まねで手を合わせる。……これは、セリカの独自の食べる前の挨拶だそうだ。俺も慣れるまでは何だと思っていたが、今ではこれが家の普通になっている。


「いただきまーす!」


「「いただきまーす」」


 にぎやかな食事。こんなに楽しい食事は、いつぶりだろうか……いや、初めてかもしれないな。


「みんな、結構作ったね!」

「まだまだ!」

「えへへ……みんな器用で、とっても助かる!」


 ティナの言葉に、俺が含まれていないような気がして、なんだか胸が痛い。


「シーマお兄ちゃんのお陰だよ!」

「ん? 俺?」

「ありがと! お兄ちゃん!」


 案外チョロいな、俺……。


 ティナのフォローにあっさり気持ちを入れ替える俺。


 可愛らしい少年少女に囲まれて、仲良く食事をする。


 こんな光景に、自分が混ざれるなんて、夢にも思わなかったな……。





 たった一瞬の、この幸せを噛みしめる様に、セリカの作った料理をゆっくりと口に運ぶ。

キッカさんのこと、完全に忘れているセリカちゃんたち、大丈夫でしょうかね!


第三章は、バザールの街、フリャでの出来事を書いていこうと思います。


フリャの街で過ごす間、騎士団としての活躍もちょこちょこ出していこうかなと思います。


ここ詳しくとか、なにかあればコメントよろしくです。というか、そこまで読んでくださっている方が居たら、私はうれ死にます。


これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ